水素エネルギー活用機器およびシステム市場に関する調査結果を発表:脱炭素
矢野経済研究所は、水素エネルギー活用機器およびシステム市場に関する調査結果を発表した。同市場は2025年度に1123億円、2030年度には6633億円の規模に到達する予測となっている。
矢野経済研究所は2024年6月10日、水素エネルギー活用機器およびシステム市場に関する調査結果を発表した。
同調査によると、水素エネルギー活用機器およびシステムの市場規模は、2025年度に1123億円に達する予測となった。さらに、2030年度には6633億円に到達するとしている。
特に、物流分野において水素エネルギー利用が進むとした。荷主に対してCO2排出量削減の需要が高まっていることや、地方自治体がカーボンニュートラルに向けた政策を打ち出していることを理由に挙げている。
物流分野では、燃料電池トラックや燃料電池クレーン、燃料電池フォークリフトなどの開発が進んでいる。燃料電池トラックを用いた実証実験が実施されており、それらの結果を踏まえて走行実証エリアの拡大、車両の追加導入を検討する動きもみられる。また、地方自治体が燃料電池クレーンや燃料電池フォークリフトの導入促進策を打ち出すケースも出てきている。
一方で、現状では水素サプライチェーンが構築できておらず、多くの水素が安価に調達可能となるまでには時間を要すると予測した。2030年代以降は、2020年代と比べて調達可能な水素の量が増えるほか、水素調達コストも低下し、さらに市場が拡大するものとみられる。同社は、2035年度の市場規模が1兆765億円、2040年度が2兆401億円、2050年度が3兆3350億円と予測した。
同社は、2023年5月から2024年2月にかけて同調査を実施した。エネルギー供給事業者や重工メーカー、産業ガス会社、商社、建設会社、プラントエンジニアリング会社などを調査対象としており、直接面談や電話、メールによる取材を実施している。
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