三菱商事らが北海道千歳エリアにおけるグリーン水素供給に向けた検討をスタート:製造マネジメントニュース
三菱商事、高砂熱学工業、北海道電力、エア・ウォーター北海道の4社は、北海道千歳エリアにおけるグリーン水素供給に向けた共同検討に関する協定を締結した。
三菱商事、高砂熱学工業、北海道電力、エア・ウォーター北海道の4社は2024年6月17日、北海道千歳エリアにおけるグリーン水素供給に向けた共同検討に関する協定を締結したと発表した。
2030年までに水素拠点を構築
水素は、電気をはじめとするさまざまなエネルギー源から製造が可能で、燃焼時にCO2を排出しないことから、カーボンニュートラルの実現に向けて重要なエネルギーとされている。2023年6月に改定された政府の「水素基本戦略」の中でも、国内における水素の製造および供給体制の構築は、エネルギー政策の観点から重要視されている。加えて、水素はその利活用において、燃料としての用途だけでなく、アンモニアやメタノールなど化学品の原料としても活用の可能性があることから、幅広い産業分野から期待が寄せられている。
一方、4社が事業化を目指す千歳エリアは、新千歳空港やさまざまな企業群が集積している工業団地が位置している。さらに、次世代半導体の量産製造拠点の開発が決定していることから、脱炭素化の手段としてグリーン水素の活用ニーズが見込まれている。また、千歳市は、2022年2月7日に「千歳市ゼロカーボンシティ宣言」を表明し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、グリーン水素の地産地消を目指している。
今回の検討に関して、事業性調査(FS)「千歳市内でのグリーン水素供給ならびに道内他拠点との連携を見据えたインフラ整備に関する調査事業」は、資源エネルギー庁の「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(水素等供給基盤整備事業)」の対象として採択されている。今後4社は、今回の協定に基づき、地産地消型のグリーン水素供給に向け、需要家のニーズも踏まえて、水素製造、貯蔵サイト候補地の検証や輸送方法など最適な供給方法の検討を進めていく。
なお、4社は、北海道、千歳市、ユーザー企業と協力するとともに、関連自治体と連携して2030年までに水素拠点を構築する他、千歳エリアだけでなく他のエリアとの連携も進めていくことでグリーン水素サプライチェーンの実現を目指す。
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