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ビジョンなき教育に効果なし……CAE活用のグランドデザインの必要性設計者CAE教育のリデザイン(再設計)(4)(3/3 ページ)

連載「設計者CAE教育のリデザイン(再設計)」では、“設計者CAEの教育”に焦点を当て、40年以上CAEに携わってきた筆者の経験に基づく考え方や意見を述べるとともに、改善につながる道筋を提案する。連載第4回では「CAE活用のグランドデザインの必要性」について解説する。

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教育コンテンツのデジタル化

 CAEの教育方法は岐路に立たされているわけですが、どちらにせよ必要なことがあります。それは教育コンテンツのデジタル化です。

 ここでは、教育コンテンツのデジタル化の一つの方法をご紹介します。筆者はこれまでたくさんの教育コンテンツをデジタル化してきました。少し前までは、デジタル化にはかなりの手間と時間がかかりましたが、最近のIT化、AI(人工知能)化によって、かなり品質の高いコンテンツを以前よりずっと短い時間で作れるようになりました。

 ほとんどの企業では、教育資料は「PowerPoint」で作成していることでしょう。この方法もPowerPointファイルがコアになります。

 PowerPointの資料の完成度は、学習意欲に大きく影響します。スライドの統一感、文字、図表、余白のバランスと密度、配色などを統一することによって資料の見やすさは大きく変わります。デジタル化する前に、資料を整えましょう。最近では、スライド作成に特化したサービスを提供する会社もあります。資料の持続可能性を高めるために、そのようなサービスを利用するのも一考です。

 PowerPointの資料をベースに、講師に一通り講義をしてもらいます(図3)。座ったままでも構いません。間違えて言い直しても、つっかかっても、とにかく講義を動画でベタ撮りします。講師は全く緊張する必要はありません。講師の負担は最小限です。

PowerPointをコアにした動画作成の流れ
図3 PowerPointをコアにした動画作成の流れ[クリックで拡大]

 次に、AIを使った文字起こしサービスで、講義の音声をテキスト化します。テキスト化された音声を人工音声で音声データ化します。そして、音声データをスライド単位に分割し、PowerPointに挿入します。音声データの尺(時間)に合わせて、スライドの画面切り替えを自動で行います。スライドで、音声に合わせてオブジェクトをアニメーションさせたい場合も、アニメーションのタイミング調整で対応できます(図4)。

アニメーションと音声の調整
図4 アニメーションと音声の調整[クリックで拡大]

 これでPowerPointファイルは完成です。ここから動画に書き出してもいいですし、PowerPointのスライドショーを実施すれば、動画と同じスライドショーが再生されます。

 教育内容を変更したい場合は、PowerPointのスライドを追加することで対応できます。教育内容の順番を変更したい場合は、PowerPointのスライドを入れ替えるだけです。持続可能性の高い教育コンテンツが作成できます。



 次回はいよいよ最終回となります。CAEの教育がどうなっていくのか、どうしなければいけないのかについて解説したいと思います。お楽しみに! (次回へ続く

⇒ 連載バックナンバーはこちら

著者プロフィール:

栗崎 彰(くりさき あきら)

1958年生まれ。金沢工業大学 建築学科 修士課程修了。2022年に合同会社ソラボを設立。1983年より米SDRC、仏Dassault Systemes、サイバネットシステムを経て40年間にわたり3D設計、CAEのコンサルティングに従事。数多くの企業で、3D CAD、CAEを活用した設計プロセス改革や設計者のためのCAE運用支援などを推進。技術系Webサイトで連載、機械学会、公設試、大学などで講演多数。著書に「図解 有限要素法はじめの一歩(講談社)」および同実践編、「バーチャル・エンジニアリングPart4 日本のモノづくりに欠落している“企業戦略としてのCAE”(共著)(日刊工業新聞社)」がある。


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