OKIエンジニアリングが高分子材料の劣化評価サービスに熱老化試験と硬度測定を追加:人とくるまのテクノロジー展2024
OKIエンジニアリングは、高分子材料の劣化を化学的および物理的に評価する「高分子材料の劣化評価サービス」に熱老化試験と硬度測定を2024年6月12日に追加する。
OKIエンジニアリング(OEG)は、「人とくるまのテクノロジー展 2024 横浜」(2024年5月22〜24日、パシフィコ横浜)に出展し、高分子材料の劣化を化学的および物理的に評価する「高分子材料の劣化評価サービス」に熱老化試験と硬度測定を同年6月12日に追加すると発表した。
2種類の硬度計で硬度を測定
近年、産業界全般では、環境保護への意識の高まりから環境負荷が少ないサステナブル材料を用いた製品開発が注目されている。自動車分野をはじめとする製造業では、特性の異なる材料を適材適所で組み合わせたり複合化したりすることにより高強度化や軽量化を実現する技術「マルチマテリアル化」が注目されている。これらの材料には高分子材料が関連する場合も多い。
こういった状況を踏まえて、OKIエンジニアリングでは高分子材料の劣化評価サービスを提供している。これまで同社は、高分子材料の劣化評価サービスで、オゾン試験や耐候性試験といった劣化試験を提供してきた他、対象物の分子構造や状態を見える化する手法「フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)」などを用いた化学的な特性評価を行ってきた。OKIエンジニアリングの説明員は「オゾン試験や耐候性試験をはじめとする劣化試験のニーズの高まりを受け、高分子材料の劣化評価サービスではこれらの受注件数が2021年から右肩上がりを続けている」と話す。
一方、高分子材料の劣化評価サービスに対してユーザーは熱を用いた劣化試験や物理的な測定の拡充を求めていた。そこで、OKIエンジニアリングは、劣化試験のラインアップに熱老化試験を追加し、物理的な劣化評価のラインアップに硬度測定を加えた。これにより、多様な劣化試験から化学的/物理的な評価までをワンストップでサービス提供できるようになり、ユーザーの材料選定や製品開発サイクルの短縮を後押しできるようになった。
熱老化試験では熱老化試験機により高分子材料に対して熱試験を行う。OKIエンジニアリングの説明員は「当社が利用する熱老化試験機は排気用と吸気用のダクトを備えており常に新しい空気を取り入れながら排気できる。そのため、熱老化試験機の内部で滞留した空気によりゴムや樹脂から発生する揮発ガス(アウトガス)を減らせる。これにより、アウトガスの影響を減らせ、純粋な熱によるサンプルの劣化や酸化を確認できる」と語った。
同社の熱老化試験機では「JIS B7757:1995」「JIS K6257:2010(ISO 188:2007)」「JIS K7212:1999」「JIS C3005:2014」などの熱老化試験の規格に対応しておりさまざまな高分子材料のサンプルに熱老化試験を行える。
硬度測定では硬度計と微小硬度計を活用する。硬度計はタイヤなどの大型サンプルの硬度測定に対応し、微小硬度計は対象物の一部を採取した小さなサンプルの硬度や表面と内部の劣化を測定できる。
OKIエンジニアリングの説明員は「熱老化試験と硬度測定が追加された高分子材料の劣化評価サービスの作業手順について一例を挙げると、まずはユーザーが、オゾン試験用、耐候性試験用、熱老化試験用など、試験に合わせた高分子材料のサンプルを用意する。次に、当社が外観チェックやFT-IR、硬度測定を行い、サンプルの初期の特性を評価する。続いて、サンプルにオゾン試験や耐候性試験、熱老化試験などの劣化試験を行う。その後、劣化試験を実施いたサンプルの特性を外観チェックやFT-IR、硬度測定などで確かめる。これらの作業を繰り返すことで、サンプルの特性を評価していく」と述べた。
同社は熱老化試験と硬度測定の追加を弾みとして2024年度に高分子材料の劣化評価サービスの売上高で5000万円を目指す。「自動車業界は最近、製品の開発サイクルが早くなっているので、多様な劣化試験から化学的/物理的な評価までをワンストップでサービス提供できる高分子材料の劣化評価サービスで、材料選定や製品開発サイクルの短縮を支援していきたい」とコメントした。
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