OKIが特注機で加温耐水自動サイクル試験をスタート、耐環境試験の精度を向上:FAニュース
OKIエンジニアリングでは2023年8月9日から自動車/車載機器向け加温耐水自動サイクル試験サービスを開始する。
OKIエンジニアリングでは2023年8月9日から、自動車/車載機器向け加温耐水自動サイクル試験サービスを開始する。
CASEの進展でより厳しい環境下での試験のニーズが高まる
近年、自動車業界ではいわゆるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展により、LiDAR(Light Detection and Ranging)やカメラなどのセンサーを含む電子機器が車外の露出した箇所に装着されるケースが多くなっている。電子機器が多用され大型化が進む一方で車内の居住性向上のニーズも高まっており、電子機器の設置場所はエンジンルームなどの高温環境へと移りつつある。
従来も耐環境性試験として、防水性、耐水性などの試験が行われてきたが、各国で異常気象も頻発する中で、より厳しい環境下での使用を再現した試験が求められていた。
その1つが、単に水をかけるのではなく、事前に試験品を加温しておき、高温を保った状態で水をかけ、水をかけ終わった後に再び加温するサイクルの試験だ。温度差を設けることにより、コネクター部などに隙間ができ、水が浸入して不具合などが発生しないかを確認する。
JISなどの規格は耐水試験の実施方法を定めていても、温度に関するストレスの印加は規定されていない。
これまでは恒温機で加温した後、人が手作業で取り出して耐水試験機に入れて試験機をスタートさせ、終了後は人が取り出し、再び恒温機に入れてスイッチを押すというサイクルを繰り返していた。ただ、この方法では、夜間の連続した試験ができないため時間がかかる他、恒温機から取り出して耐水試験機に入れるまでに温度が下がるなど試験の精度にも課題があった。例えば、加温40分と散水20分を48時間繰り返す試験となれば、1日8時間で6日かかっていた。
加温と自動サイクルで納期も大幅に短縮可能に
今回、OKIエンジニアリングでは2000万円を投資して、160℃までの加温機能と自動サイクル機能を備えた特注のスガ試験機の耐水試験機を新たに1台導入した。
JIS D 0203の耐水試験は散水試験でR1、R2、噴水試験でS1、S2に、JIS D 5020の耐水試験は散水試験のIPX3、飛水試験のIPX4、加圧飛水試験のIPX4Kに対応している。槽内寸法は1000×1000×1000mm。同社によると、2023年7月時点で加温と耐水の自動サイクル試験が可能な国内唯一の試験機となっている。
厳しい環境条件を高精度に再現できる上、コネクターや電子制御機器も動作状態を想定した連続通電試験が可能になった。人手を介さず、試験の再現性、安定性などばらつく要因も排除できる。さらに終日稼働が可能になり、48時間の試験なら2日で完了、納期の短縮につながる。
OKIエンジニアリングでは2018年度以降、耐水試験の売り上げは毎年10%前後成長。2022年度の売上高は2018年度の1.6倍にまで成長しているという。新たなサービスの追加により、年間6000万円の売り上げを目標にしている。
OKIエンジニアリング 取締役執行役員 菊池秀克氏は「われわれは信頼性試験の装置を幅広く取りそろえているが、今はそれら別々の試験を組み合わせたカスタムの複合試験が求められている。われわれはユーザーが持てない設備、サービスをそろえ、困りごとの解決に貢献してきた。今後も新たな要求に対して設備投資をしながら、事業を拡大させていきたい」と語る。
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