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つながるクルマに求められるサイバーセキュリティいまさら聞けない 車載セキュリティ入門(1)(1/4 ページ)

スパイ映画やSF映画には、自動車がハッキングを受けて乗っ取られるシーンが出てくることがある。つながるクルマ=コネクテッドカーが当たり前になるこれからの時代、これらのシーンは絵空事では済まされない。本連載では、つながるクルマをサイバー攻撃から守る「車載セキュリティ」について解説する。

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注目を集める車載セキュリティ

 近年、自動車のサイバーセキュリティ、車載セキュリティが注目を集めるようになっています。

 セキュリティ関連の学会では、車載セキュリティだけに焦点を当てていたり、車載セキュリティのセッションをメインにしたりするものが年々増加しています。「DEF CON」や「Black Hat」のような主要なハッキングの学会では、自動車ハッキングのプレゼンテーションは大きな注目を浴びます。

 また、政府主導の車載セキュリティに関する取り組みも見られるようになってきました。例えば、米国上院議員のエドワード・マーキー氏は2013年12月、自動車メーカー20社に車載セキュリティ対策についての質問状を送りました。この質問状には、自動車メーカーが行っているセキュリティ試験のレベルや、どのようなセキュリティ対策を行っているかなどの質問があり、2015年1月に回答の概要が公表されました。

 その要旨は、大半の自動車メーカーが質問状が送られた時点において、サイバーセキュリティに対する脅威や自社製品における適正なセキュリティの解決法をほとんど考慮してなかったということでした。

 しかし悪いことばかりでもありません。自動車メーカーはその後、車載セキュリティの改善に着手、もしくは改善を計画していることが明らかになりました。自動車業界は、既にセキュリティ専門グループを立ち上げたり、研究開発部門や生産部門、サプライヤにセキュリティ技術者を参加させたりといった手段を講じています。

 今や世界全体で数十億米ドルという市場規模になった自動車産業の成長は、ハードウェアとソフトウェアの技術進歩によってけん引されてきました。Over-The-Air(OTA、無線通信)によるソフトウェアアップデートやリモート診断のような新たなサービスの導入は、さらなる成長を生み出す可能性があります。しかし、これらの新しいサービスを提供するためには、安全に通信を行える環境を保証するものとして車載セキュリティが当然必要になってきます。

 さらに、自動車に関連する新たな無線通信技術として車車間通信(V2V:Vehicle-to-Vehicle)や路車間通信(V2I:Vehicle-to-Infrastructure)が登場しています。V2VやV2Iによって、自動車は、他の自動車やインフラなどと通信することが当たり前になっていきます。このような状況にもかかわらず、自動車に対するサイバー攻撃は急激に増加しているのです。

自動車はさまざまな種類の通信によってつながるようになってきている
自動車はさまざまな種類の通信によってつながるようになってきている
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