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DMG森精機が進めるIoTサービスの実装、工作機械単体から工場全体をカバーへFAニュース

DMG森精機は伊賀事業所(三重県伊賀市)で合同取材に応じ、直近の工程集約への取り組みや最新製品について発表した。本稿ではその中から、同社のIoT(モノのインターネット)サービスに関連する説明を中心に紹介する。

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 DMG森精機は2024年4月17日、同社の伊賀事業所(三重県伊賀市)で合同取材に応じ、直近の工程集約への取り組みや最新製品について発表した。本稿ではその中から、同社のIoT(モノのインターネット)サービスに関連する説明を中心に紹介する。

IoTサービスで工作機械の稼働率向上に貢献

 テクニウムは2018年にDMG森精機の子会社として野村総合研究所と共同で設立され、工作機械に関連するソフトウェア販売やエンジニアリングサービスなどを展開している。テクニウム 代表取締役社長のブルーメンシュテンゲル健太郎氏は「われわれが目指すのは機械の稼働率の向上だ。機械を最大限に活用していただきたい」と語る。

 DMG森精機では、myDMGMORIというユーザー向けの会員制オンラインサービスを無償で提供している。世界54カ国からアクセスでき、18の言語に対応している。現在、グローバルで4万社、25万台以上の機械が登録されているという。

 myDMGMORIでは、PCやスマートフォンによるマニュアルの閲覧や修理復旧に関する問い合わせ、スペアパーツの手配などが可能だ。myDMGMORIを中心としたサービス、補修部品の2023年度(2023年1〜12月)の受注額は前年同期比10%増の311億円で、連結受注額全体の23%を占める。


myDMGMORIの画面[クリックで拡大]出所:DMG森精機

「工作機械のような複雑な機器は、口頭で問題を説明するのは難しい。myDMGMORIでは写真や動画、工作機械のプログラムもアップロードしてサービスセンターに共有できる。それによってユーザーとのやりとりの回数や時間を削減し、機械の稼働率を高めることに貢献できる」(ブルーメンシュテンゲル氏)。

 機械加工の基礎や5軸加工の特徴、金属AM(Additive Manufacturing)に関するオンライン講座なども充実。Tool Discoveryでは工具選定の相談や工具のサンプル依頼も受け付けている。


テクニウムのブルーメンシュテンゲル健太郎氏[クリックで拡大]

 近年、力を入れているのがIoTサービスを通じた稼働状況の見える化や分析、改善だ。既にユーザーが導入したDMG森精機の工作機械をクラウドのプラットフォームとつなげることで、稼働状況のモニタリングや遠隔操作による修理復旧のサポートなどが受けられる「CELOS Club」を展開。2013年以降のDMG森精機の工作機械には、通信モジュールとSIMカードは既に搭載されており、ユーザー側ではネットワーク構築などの作業をすることなく、IoTサービスを利用できるようになっている。既に国内で4000台以上の機械がつながっているという。

 ユーザーの工作機械のアラームメールをDMG森精機の修理復旧センタで分析、メンテナンスを提案するサービスも行う。「ユーザー側では、機械が発したアラームがどんな意味なのか分かんないことがある。そのためにわれわれの専門スタッフが全国から届くアラームをモニタリングし、全国から届くアラームを分析し、過去の履歴なども参照しながらユーザーにメンテナンスの提案などを行っている」(ブルーメンシュテンゲル氏)。その件数は月間で100件ほどという。

「インダストリー4.0の実装が完了しつつある」

 2023年からはユーザーの工場内にある他社製も含めた工作機械や自動化システム、3次元測定器などの機械設備を、ネットワーク環境に応じてハードウェアの提供、ネットワークの構築、導入作業、クラウドへの接続までをワンストップで対応するサービス「DMG MORI GATEWAY」もスタートした。


DMG MORI GATEWAYのシステム構成のイメージ[クリックで拡大]出所:DMG森精機

「ユーザーはDMG森精機の工作機械だけも保有してるわけではなく、さまざまなメーカーの工作機械を使用している。さらに工作機械だけではなく、射出成形機や検査機など いろんな機械を使っている。そのため、われわれのIoTサービスに好評をいただく中で、他社機も含めてつなげてほしいという要望を受けて始めたサービスだ。ここでの“GATEWAY”は、インターネットやクラウドへつなげるための一括した窓口という意味合いで使っている」(ブルーメンシュテンゲル氏)

 DMG MORI GATEWAYに合わせて同社では他社機や周辺機器もクラウドに接続する「IoT Connector Flex」を開発している。これによって、古くてLAN接続できない機械でもデータを取得し、クラウドへつなげることができる。「LAN接続できない場合は、機械のアクチュエーターなどからの信号を読み取って、情報を整理し、クラウドに上げることができる。古い機械はそれほど多くの信号を出していないので、データをとってもできることは限られているが、アンドンの信号が付いていれば生産性は見ることができる」(ブルーメンシュテンゲル氏)。

 DMG森精機 代表取締役社長の森雅彦氏は2024年度第1四半期(2024年1〜3月)の決算会見において、「インダストリー4.0の実装がほぼ実用レベルで完了しつつある。次はデータをどう使っていくかだ」と評した。IoTサービスの充実によって、他社との差別化を一層図ろうとしている。

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