有機薄膜太陽電池の材料となるフラーレンの事業を共同運営:製造マネジメントニュース
三菱商事とデンカは、炭素の先端素材であるフラーレンに関する事業の合弁契約を締結した。デンカは三菱商事から、フラーレンの製造販売を担うフロンティアカーボンの株式50%を取得し、同事業の共同運営を開始する。
三菱商事とデンカは2024年4月24日、炭素の先端素材であるフラーレンに関する事業の合弁契約を締結したと発表した。デンカは三菱商事から、フラーレンの製造販売を担うフロンティアカーボン(FCC)の株式50%を取得し、同事業の共同運営を開始する。
フラーレンは、nmレベルの分子で炭素原子がサッカーボール状の基礎構造を成す。電気特性や熱安定性に優れ、有機溶媒に溶けるため、有機薄膜太陽電池の発電層に使用されている。また、ペロブスカイト太陽電池の材料としても検討が進められ、スマートフォンなどに利用される各種センサーの材料など、新用途への展開も期待されている。
三菱商事は、2001年のFCC設立以降、顧客との技術的な協議や販売ネットワークの構築を通して、産業用フラーレンの市場を切り開いてきた。また、フラーレン物質特許などを保有しており、広範な産業分野に携わる総合力を活用して、これからもFCCの成長に貢献していく。
デンカは、これまで蓄積してきたカーボンナノ材料の知見や生産技術をフラーレン事業に応用し、FCCの成長を支援する。併せて、デンカが持つ製造設備などのユーティリティを生かして、事業インフラの構築にも寄与する。
三菱商事とデンカは、これらのノウハウや長所を掛け合わせ、フラーレンの市場拡大を推し進める。さらに、新たな用途市場開拓によるフラーレン需要増に対応するため、生産増強に向けた体制構築を進める。
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