デンカが低炭素アセチレン製造技術に関する共同研究と実証設備導入の契約を締結:脱炭素
デンカとTransform Materialsは、低炭素アセチレン製造技術に関する共同研究と実証設備導入の契約を締結した。マイクロ波プラズマを活用するアセチレン製造設備の導入により、主力製品のCO2排出量削減を目指す。
デンカは2023年5月25日、Transform Materialsと、低炭素アセチレン製造技術に関する共同研究および実証設備導入の契約を締結したと発表した。調印式は、同月23日に実施した。
Transform Materialsは、マイクロ波によりメタンをプラズマ化し、アセチレンと水素を製造する技術および設備を有する。
デンカは、主力製品であるクロロプレンゴムやアセチレンブラックなどを、アセチレンチェーン(アセチレンを原料に用いる製品の生産フロー)で製造している。今回の契約により、デンカはTransform Materialsの設備を導入し、主力製品のCO2排出削減を目指す。加えて、導入設備から副次的に生産される水素を活用し、カーボンニュートラルに貢献する新たな取り組みも模索する。
Transform Materialsの設備は、年間1600t(トン)のアセチレン生産能力を備える。デンカは、大牟田工場(福岡県大牟田市)に同設備を導入し、低炭素アセチレン製造技術の実証とアセチレンの量産化に向けた技術改良に取り組む。なお、両社の共同研究期間は、2023年5月〜2028年末で、設備の稼働開始は2026年度上期を予定している。
デンカは、2030年のCO2排出量を2013年度比60%減とすることを目標にしている。2030年までに850億円の環境投資を計画するほか、低炭素アセチレンチェーンの構築をはじめとするポートフォリオ変革を進めている。
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