ビール工場の排水から出るバイオガスで発電、アサヒグループが進める脱炭素化:脱炭素(1/2 ページ)
グリッドは2021年12月2日、物流や産業設備における脱炭素化の取り組みをテーマとしたウェビナー「社会インフラが目指す脱炭素化社会」を開催した。本稿では同ウェビナーに登壇したアサヒグループホールディングス Sustainability マネージャーの原田優作氏による、同社の脱炭素化に関する取り組みの講演内容を抜粋して紹介する。
グリッドは2021年12月2日、物流や産業設備における脱炭素化の取り組みをテーマとしたウェビナー「社会インフラが目指す脱炭素化社会」を開催した。本稿では同ウェビナーに登壇したアサヒグループホールディングス Sustainability Manager 原田優作氏による、同社の脱炭素化に関する取り組みの講演内容を抜粋して紹介する。
スコープ3排出量削減に向けて共同配送実施
アサヒグループホールディングスをはじめとするアサヒグループは現在、「環境」「人」「コミュニティ」「健康」「責任ある飲酒」に配慮した事業展開を目指すというビジョンを軸に、持続可能な社会形成を目指す「アサヒグループ サステナビリティ基本方針」を策定し、実現に向けた取り組みを行っている。特に環境分野については「アサヒグループ環境ビジョン2050」を制定して、環境負荷の実質的なゼロ化に向けた取り組みと、環境負荷低減のために技術を活用して新たな価値創出を目指す試みを両輪として進める。
環境負荷のゼロ化は大きく分けて、カーボンニュートラルの達成と、製品の農産物原料などの持続性向上を目指す取り組みの2つを軸に進める。カーボンニュートラルの達成については、2030年までに自社の直接、間接排出となるスコープ1、2においてCO2排出量を50%削減(2019年比、以下同)、自社のサプライチェーンから排出されるスコープ3で30%削減し、2050年までにCO2排出量を実質的にゼロにするという目標を掲げる。
スコープ3の排出量削減に関しては、国内外で燃料電池トラックや再生可能エネルギーを使用する電気トラックの活用を目指した取り組みを推進中だ。国内の取り組みとしては、ヤマト運輸やトヨタ自動車、日野自動車などと共同で燃料電池大型トラックの走行実証実験を2022年春頃から実施する予定だという。また、アサヒグループホールディングスは「製品の物流分野は非競争領域」(原田氏)と位置付けており、キリンビールやサッポロビール、サントリービールなどの競合他社とも連携して、環境負荷低減やドライバー不足解決を目的とした共同配送にも取り組んでいる。
再生可能エネルギーの活用に関しても、アサヒグループホールディングスは使用電力の100%を再生可能エネルギーにすることを目指すRE100にも「国内飲料業界の企業としては初めて参加」(原田氏)するなど積極的な姿勢を示している。既に国内外のビール製造において活用が進んでおり、実際に製造過程で再生可能エネルギーを使用した製品には、そのことを示すマークをプリントしているという。例えば、同社の主力製品である「アサヒ スーパードライ」のパッケージには、自然エネルギーによって発電されたグリーン電力を活用していることを表すマーク(小文字の「g」)が印刷されている。
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