東南アジアと欧州を結ぶトラックと鉄道の国際複合輸送、喜望峰ルートより短期間:物流のスマート化
ヤマトホールディングスは東南アジアと欧州の間で、トラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスの提供を開始した。
ヤマトホールディングスは2024年5月1日、東南アジアと欧州の間で、トラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスの提供を開始したと発表した。海上輸送や航空輸送に次ぐ新たな輸送手段の1つとして提案する。
新サービスでは、シンガポール、マレーシア、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジアといった東南アジアの各国と、ウクライナとベラルーシを除く欧州の各国を対象区間とする。物量に応じてコンテナ貸し切りもしくは混載で輸送する。東南アジアと中国の間はグループ会社のOverland Total Logistic Services(OTL)のトラック輸送網を活用し、中国と欧州の間はパートナー企業の鉄道輸送を活用する。シームレスに最終指定納品場所まで輸送する。
ヤマトホールディングスは24の国と地域でグローバルサプライチェーンの構築を支援しており、グループ会社のOTLは2001年から東南アジア各国と中国の間でコンテナトレーラーを利用した越境トラック輸送サービスを提供している。
東南アジアはエレクトロニクス関連や自動車部品などの生産拠点が集まっており、世界中の市場に輸送される。これまで東南アジアから欧州への海上輸送は最短経路である紅海ルートが利用されてきたが、2023年末ごろから武装組織による船舶攻撃が紅海とその周辺海域で継続して発生している。
これにより南アフリカ共和国の喜望峰を回るルートに迂回することを余儀なくされており、仕向け地に到着するまでにかかる運航日数は紅海ルートと比べて最大20日ほど長くなっている。迂回による海上運賃や保険料の高騰により輸送コストは大幅に増加している。新サービスは、航空輸送よりもコストや温室効果ガス排出量を抑えることができ、喜望峰ルートでの海上輸送よりも短期間での輸送が可能だとしている。
ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルとパレスチナの情勢など地政学的リスクも高まっており、迅速に対応できる強靭なグローバルサプライチェーンの構築の重要性が高まっているという。
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