日本郵船らが2万7000本の中古ベルトを回収し固形燃料に再利用:リサイクルニュース
日本郵船、郵船商事、アズビル山武フレンドリー、加山興業の4社は、自動車専用船で使用し古くなった車両固縛用ベルトのリサイクルを2024年4月6日に開始したと発表した。
日本郵船、郵船商事、アズビル山武フレンドリー、加山興業の4社は4月26日、自動車専用船で使用し古くなった車両固縛用ベルト(以下、ラッシングベルト)のリサイクルを同月6日に開始したと発表した。
全てをリサイクルした場合は約20トンのRPF燃料に
今回のリサイクルでは、日本郵船が運航する自動車専用船で使用期限が過ぎたラッシングベルトを回収し、アズビル山武フレンドリーが金属部品とベルトに分別、加山興業がプラスチック製のベルトを原料としたRPF燃料(マテリアルリサイクルが困難な古紙や廃プラスチック類を主原料とした固形燃料)を製造する。
日本郵船が運航する自動車専用船隊全体では年間約20万本のラッシングベルトが廃棄されており、全てをリサイクルした場合、約20トン(t)のRPF燃料に生まれ変わる。リサイクルがスタートした4月6日には名古屋港で、自動車専用船「SAGITTARIUS LEADER」から約2万7000本の中古ラッシングベルトを回収した。
今後は、廃棄されるラッシングベルトからRPF燃料にリサイクルされることで、エネルギー資源として再利用される。RPF燃料は石炭に比べて約33%の温室効果ガス(GHG)排出量低減効果のある燃料だが、加山興業では燃料製造時に使用する電力を全て再生可能エネルギー由来とすることで、よりGHG排出量を削減している。
今回の取り組みでは、自然環境への配慮に加えて、多様な人材を受け入れるプロセスを取り入れており、アズビル山武フレンドリーでの分別作業では知的なハンディキャップを抱える従業員が、加山興業でのRPF燃料製造では外国人技能実習生が活躍している。作業員が安心して働ける場を作るため、専用の裁断機の開発や日本語教育による円滑なコミュニケーションの推進、作業内容に関する事前研修の拡充などが行われている。
なお、これまでは、日本郵船独自の安全基準に基づき使用年数を過ぎたラッシングベルトは産業廃棄物として処理されるか、中古品として売却されていた。
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