使用済みリチウムイオン電池を活用した環境配慮型スマートベンチを開発:リサイクルニュース
フクビ化学工業やNAGASEグループの長瀬産業、キャプテックスは、リサイクル樹脂、リユース電池を使用した環境配慮型のスマートベンチを共同開発し、実証実験を2024年3月に開始したと発表した。
フクビ化学工業やNAGASEグループの長瀬産業、キャプテックスは2024年4月23日、リサイクル樹脂、リユース電池を使用した環境配慮型のスマートベンチを共同開発し、実証実験を同年3月に開始したと発表した。
なお、リサイクル樹脂とリユース車載バッテリーを活用したスマートベンチの開発は、業界でも先進的な事例となるという。実証機は静岡県裾野市に設置され、利便性/安全性などの実証を経て2025年度の実用化を目指す。
今回の実証機は、ベンチの座面や背もたれ部分に使用済みのプラスチック廃材をリサイクルした再生木材を使用している。また、使用済みの自動車動車から取り外したリチウムイオン電池をリユースした環境配慮型のスマートベンチとなっている。このベンチは、公共の設備および電源としての機能も持ち、リサイクル/リユースをコンセプトとしている。
実証機に採用されている素材と構造
実証機の座面と背もたれ部には、フクビ化学工業の再生木材「プラスッド」を使用している。プラスッドは、使用済みのプラスチック廃材をリサイクルした原料と持続可能な森林由来の国産間伐材を利用しており、屋外で長期間使用しても劣化や変色が少ない耐久性を実現している。
実証機の構造は、2021年10月に販売を開始した屋外家具「Fandaline(ファンダライン)」で適用した構造をベースに、今回のスマートベンチ向けに改良した。具体的には、ベンチの下部に蓄電池を収納する筐体を納めるためのスペースを確保し、支持脚は屋根を支える柱に固定できる構造に改良することで、スマートベンチで必要な部材/部品を合理的に納める設計となっている。
さらに、実証機に取り付けられたデジタルサイネージのモニターカバーには、特殊なコーティングを施したフクビ化学工業の「ハーツラスAR」を採用することで、映り込みが少なく、デジタルサイネージの情報が見えやすくなっている。
搭載されているリチウムイオン電池
実証機に搭載されているリチウムイオン電池は、スズキが生産する四輪車に搭載されている「エネチャージ/S-エネチャージ」に使用された電池のリユース品だ。スズキの四輪車から取り外した使用済みリチウムイオン電池をスズキの協力のもと、長瀬産業とキャプテックスがスマートベンチ用にリユースしたものとなっている。
今回の実証に当たり、長瀬産業とキャプテックスは、リユース電池を制御するBMS(バッテリーマネジメントシステム)の開発を行った。このBMSは、スマートベンチのサイネージやLED照明などに使用されるリユース電池を安全に制御するだけでなく、電池容量の冗長性を備え、さまざまな用途に展開しやすい設計が施されている。
一方、キャプテックスでは、使用済み蓄電池の性能評価を行え、リユースに当たって残存性能/信頼性の検証に強みを持ち、安全性の高いリユース電池の提案が可能だ。
なお、実証機の一次電池として活用する太陽光パネルもリユース品を使用している。リユース太陽光パネルをスマートベンチに活用することで、廃棄物削減に貢献する。
各社の役割
スマートベンチの設計や自治体などを対象とした同製品の拡販は、最適な素材や材料を設計できる建材メーカーのフクビ化学工業が担う。スマートベンチに搭載されるリユース電池の開発や、同電池に太陽光発電パネルと電子機器を搭載するシステム化作業は、化学業界を中心に幅広いネットワークを持つ長瀬産業と、蓄電関連の技術、開発、製造に強みを持つキャプテックスが担当する。
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