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滑る表面が持続する水系離型剤を発売、セルロースナノファイバーを活用:材料技術
花王は、ゴムや樹脂製品の製造工程において、型枠から製品を容易に取り外せる水系離型剤「ルナフロー RA」を発売する。バイオマス素材のセルロースナノファイバーを材料とし、高い離型性と持続性を持つ。
花王は2024年4月10日、ゴムや樹脂製品の製造工程において、型枠から製品を容易に取り外せる水系離型剤「ルナフロー RA」を同年5月に発売すると発表した。優れた離型性と、一度塗布すれば繰り返し使える高い持続性を持つ。
繊維をナノレベルまで微細化し、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら、5倍の強度があるバイオマス素材のセルロースナノファイバー(CNF)を材料に使用。これにより、高い離型性と持続性を備えた。
同社は、疎水化技術といわれるCNFを容易に活用するためのコントロール技術を保有している。さらに、CNFを潤滑油と組み合わせることで、塗布した表面を滑らせる技術(滑液表面技術)を開発した。同製品は、これらの技術やノウハウなどを応用して開発した。
型枠でゴムや樹脂製品を成形する工程において、流し入れた材料が型枠に接着すると、作業効率の低下や不良品発生を招く。そこで、あらかじめ離型剤を型枠の内側に塗布することで、型枠と材料との間に薄膜をつくり、両者の接着を防止する。製造効率の向上が期待でき、かつ溶剤フリー、フッ素フリーとなっている。
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