発電効率63%の固体酸化物形燃料電池システムを商品化:材料技術
東京ガスと三浦工業は、発電効率63%の固体酸化物形燃料電池システム「FC-6M」を共同開発し、2024年10月より販売する。高効率な発電が可能になったことで、排熱を利用せずにCO2排出量の削減に貢献するモノジェネレーションシステムを採用した。
東京ガスは2024年3月26日、三浦工業と共同開発した、発電効率63%の固体酸化物形燃料電池システム「FC-6M」の商品化に合意したと発表した。同年10月より、三浦工業から発売する。
FC-6Mは、東京ガスが独自に研究開発した燃料電池の高効率化技術と、三浦工業が持つシステム化技術を融合させて開発。一般的な発電効率の50〜55%を超える、63%の発電効率を達成した。高効率な発電が可能になったことで、排熱を利用せずに、省エネルギーやCO2排出量の削減に貢献するモノジェネレーションシステムを採用した。
外形サイズは810×1990×1880mmで、質量は900kgとなる。設置面積あたりのCO2排出量削減効果が高く、都市部など設置場所が限られる地域で有効に利用できる。一般的な太陽光発電パネルの設置面積に比べ、約40分の1の設置面積で、同等のCO2排出量削減効果が得られる。
都市ガスが供給されていれば、停電時でも標準1.5kw、最大5.0kW(オプション)の電力を供給できる。2025年度からは、最大8台の連結運転により、約46kWまでの大容量化が可能となる見込みだ。連結台数を変えれば、ユーザーの電力需要に応じて発電出力を調整できる。
両社は2020年4月より、実証試験などを開始。運転データの収集、耐久性や信頼性の検証が進んだことから、今回の販売開始となった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 爆発するリチウムイオン電池を見抜く検査装置を開発した神戸大・木村教授に聞く
製造したリチウムイオン電池が爆発するかを見抜ける検査装置「電流経路可視化装置」と「蓄電池非破壊電流密度分布映像化装置」を開発した木村建次郎氏に、両装置の開発背景や機能、導入実績、今後の展開などについて聞いた。 - リチウムイオン電池向け人造黒鉛の長期供給契約を締結、4年間で1万tを供給
パナソニック エナジーは、EV用リチウムイオン電池の主要な負極材料である人造黒鉛に関して、Novonixと長期供給契約を締結した。Novonixの米国テネシー州の工場から2025年より供給開始となる予定だ。 - リチウムイオン電池の新たな電極製造法を開発、CO2の排出量削減に貢献
日本ゼオンは、リチウムイオン電池の新しい電極製造方法を開発した。電極の大型乾燥工程が不要で二酸化炭素の排出量を削減する他、正負両極に適用可能で、かつ従来法と同等以上の速度で成形できる。 - SMFLがリチウムイオン電池リサイクル事業の共同開発で協業
三井住友ファイナンス&リースは、同社グループのSMFLレンタルやシンガポールのTES-AMMとともに、湿式精錬技術を用いたリチウムイオン電池リサイクル事業をグローバルに共同展開する目的で、LIBリサイクル事業の共同開発に関する覚書を締結し、事業化の検討を開始したと発表した。 - リチウムイオン電池の基礎知識とリサイクルが必要なワケ
本連載では東北大学大学院 工学研究科附属 超臨界溶媒工学研究センターに属する研究グループが開発を進める「リチウムイオン電池リサイクル技術の水熱有機酸浸出プロセス」を紹介する。第1回ではリチウムイオン電池の基礎知識やリサイクルが必要な背景、当研究グループの取り組みの一部を取り上げる。 - リチウムイオン電池の発火や焼損耐性などを評価できる新サービス
OKIエンジニアリングは「リチウムイオン電池および電池搭載機器の発火・焼損耐性、延焼性評価サービス」を開始すると発表した。