SMFLがリチウムイオン電池リサイクル事業の共同開発で協業:リサイクルニュース
三井住友ファイナンス&リースは、同社グループのSMFLレンタルやシンガポールのTES-AMMとともに、湿式精錬技術を用いたリチウムイオン電池リサイクル事業をグローバルに共同展開する目的で、LIBリサイクル事業の共同開発に関する覚書を締結し、事業化の検討を開始したと発表した。
三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は2024年3月12日、SMFLグループのSMFLレンタルやシンガポールのTES-AMMとともに、湿式精錬技術を用いたリチウムイオン電池(LIB)リサイクル事業をグローバルに共同展開する目的で、LIBリサイクル事業の共同開発に関する覚書を締結し、事業化の検討を開始したと発表した。
なお、湿式精錬技術とは、金属の精錬作業を酸、アルカリ、溶媒などの水溶液中で行い、金属の分離をすることを指す。
クローズドループの構築を2030年に向け具体化
LIBは、ノートPCなどの民生用の他、定置用や車載用も急拡大しており、グローバルで関心が寄せられている。一方、原材料の地域偏在や製錬技術の地域集中により、原材料の調達リスクが注目されており、リサイクルの必要性が高まっている。
SMFL、SMFLレンタル、TESは、今後電気自動車(EV)の使用済みLIBが大量に発生する見込みであることを踏まえて、まずは国内で使用済みLIBの回収、リチウムやコバルトなどのレアメタルの抽出、再資源化というクローズドループの構築を2030年に向け具体化し、循環型社会の実現に向けた検討を進めていく。
TESは、2005年に設立された企業で、電子機器と部品の導入から廃棄処分までを管理するソリューションや技術サービスを提供している。製品の導入、リユース、リサイクル、廃棄処分に至るまで、ライフサイクル全体に渡り総合的なサービスを提供。使用済み電池から希少素材までを高い純度で抽出し、製造サプライチェーンで再利用できる状態にするなど、リサイクル資産の価値を最大限にするための新しい事業プロセスの開発も行っている。22カ国にある40カ所の施設を通じてサービスを提供している。
同社は、2030年までに10億kgのリサイクル資産を安全かつ確実に、持続可能な方法で再利用することで、大きな変化を生み出すことを目標として掲げている。
SMFLは、経営理念/経営方針を示す「SMFL Way」のOur Vision(私たちの目指す姿)の1つとして「SDGs経営で未来に選ばれる企業」を掲げ、SDGs達成を支援するさまざまなサービスを提供している。
SMFLレンタルは、PCやワークステーションに代表されるIT機器のリース、レンタル、導入支援などに加え、電子計測器、介護機器/福祉用具、産業用工作機械/輸送用機器などのレンタルも行っている。
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