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リチウムイオン電池からリチウムを高収率でリサイクル、東レがNF膜で実現へnano tech 2023

東レは、「nano tech 2023」において、使用済みリチウムイオン電池から高収率でリチウムを回収できるNF膜を披露した。

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東レがリチウムイオン電池のリサイクル向けに新開発したNF膜の概要
東レがリチウムイオン電池のリサイクル向けに新開発したNF膜の概要[クリックで拡大] 出所:東レ

 東レは、「nano tech 2023」(2023年2月1〜3日、東京ビッグサイト)において、使用済みリチウムイオン電池から高収率でリチウムを回収できるNF(ナノろ過)膜を披露した。

 リチウムイオン電池のリサイクル技術の中でも、さまざまな金属材料の回収が可能な湿式プロセスに注目が集まっている。この湿式プロセスでは、使用済みリチウムイオン電池を破砕した粉末であるブラックマスに対してpHが1程度の酸を用いて金属材料をイオンにして抽出し、その後溶媒抽出によって金属材料を回収するのが一般的だ。

 この手法では、溶媒抽出でコバルトやニッケルは回収できるものの、リチウムについてはコバルトとニッケルを回収した後の不純物が多く含まれる残液に残ってしまい、高純度/高収率で回収することが難しいという課題がある。

 東レのNF膜は、多価イオンや有機物を選択的に分離する特徴があり、地下水や河川水からの硬度成分や農薬の除去、食品/バイオ用途での脱塩や精製などに用いられてきた。この特性を利用し、ブラックマスを酸抽出した後のさまざまな金属イオンが含まれる液体に適用すれば、水や1価のリチウムイオンは透過し、多価イオンであるコバルトとニッケルは透過しないことで選択的に分離できる。

 ただし、従来のNF膜は中性の液体に適用されており、pH1という酸性領域ではその選択分離性を発揮できなかった。「そこで、耐酸性を高めるとともに、1nm以下の精密な細孔構造によって選択分離性も向上したNF膜を開発した」(東レの説明員)という。従来品のNF膜と比べて、耐酸性は5倍、選択分離性は1.5倍となっている。

新開発のNF膜のサンプルブラックマスの酸抽出液からリチウムイオンを選択分離するイメージ 新開発のNF膜のサンプル(左)とブラックマスの酸抽出液からリチウムイオンを選択分離するイメージ(右)[クリックで拡大]

 展示のデモ映像では、Co+Ni:Li=1:1の割合で溶け込んでいる液体に新開発のNF膜を適用することで、Co+Ni:Li=1:99までリチウムイオンを選択的に分離できることを示した。「これまでのリチウムイオン電池のリサイクル技術において、リチウムのリサイクルは重視されていなかった。しかし近年はリチウムが高騰するとともに、生産時のCO2排出量の多さも問題になっており、リチウムのリサイクルにも注目が集まっている。新開発のNF膜で課題解決に貢献したい」(同説明員)としている。

展示のデモ映像
展示のデモ映像。Co+Ni:Li=1:1の液体がNF膜を透過するとCo+Ni:Li=1:99になっている[クリックで拡大]

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