日立産機が三菱電機 名古屋製作所の配電用変圧器事業を譲受、2026年4月に統合完了:製造マネジメントニュース
日立産機システムと三菱電機は、三菱電機が名古屋製作所で製造する配電用変圧器の事業を日立産機システムに譲渡することで合意したと発表した。
日立産機システムと三菱電機は2024年4月5日、三菱電機が名古屋製作所(名古屋市東区)で製造する配電用変圧器の事業を日立産機システムに譲渡することで合意したと発表した。今後、関係当局からの認可取得を経て、同事業の開発や設計、製造、販売、保守に関する資産などを2024年10月から段階的に日立産機システムに譲渡していく。譲渡完了は2026年4月1日の予定。
事業譲渡される三菱電機 名古屋製作所の配電用変圧器事業は1952年から製造を開始し、約70年の歴史を持つ。その長年の実績で培われた技術を進化/継承したトップランナー油入変圧器「Rシリーズ」を中心に省エネ性能を追求した豊富なラインアップをそろえ、日本国内の充実した販売網により事業を推進してきたという。なお、今回の事業譲渡では、三菱電機の系統変電システム製作所傘下の赤穂工場(兵庫県赤穂市)で製造している変圧器は対象外となる。
日立グループは、カーボンニュートラルを実現するための重要プロダクトとして、変圧器をグローバルに事業展開している。国内では、日立産機システムが配電用変圧器のトップメーカーとして、電力損失が少ない「アモルファス合金」を鉄心に採用して高いエネルギー消費効率を実現した製品や植物油(エステル油)を採用し高い環境性能と安全性を実現した製品などを展開。海外では、グローバルリーダーの日立エナジーが、液体封入型や乾式変圧器、ライフサイクルサポートをユーティリティーや産業、運輸分野向けで事業を進めている。
日立産機システムは、今回の事業譲渡により、省エネ性能が高く環境に配慮した変圧器の製品ラインアップとサービスを拡充し、国内市場を中心に受変電システムを核とした送配電系統と需要家側のデバイスを接続する場所で稼働する「グリッドエッジソリューション」の成長を加速させたい考え。一方、三菱電機は、事業譲渡によって得た原資を用いて名古屋製作所などで展開するFAシステム事業の拡大に注力する方針である。
また、両社の保有する技術と資産の統合により、エネルギー効率の改善や、より環境にやさしいプロダクトの開発と提供を通じ事業価値を高めることが、日本に求められる高度な送配電網の実現や、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への貢献に最適であるとの両社の経営判断に基づき、今回の合意に至ったとする。日立産機システム 取締役社長兼 CEOの竹内康浩氏は「2050年、日本のカーボンニュートラルに貢献する、その想いが今回の統合の背景にある」、三菱電機 上席執行役(FA システム事業本部長)の竹内敏惠氏は「長年の実績で培われた技術を日立産機システム様に継承することで、配電用変圧器業界の発展に貢献すると確信している」とコメントしている。
配電用変圧器は、発電所が発電した高圧電力を、変電所や公共施設、事業や商用施設などの中継点で、利用側のニーズに合わせた電圧に降圧する役割を担う。再生可能エネルギーの普及による発電源の多様化や生成AI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション)の普及に伴うデータセンター/半導体製造の拡大に伴い、電力需要が世界的に拡大する中、配電用変圧器は長期的な需要拡大が見込まれている。国内では、省エネ法におけるトップランナー方式に基づき、2026年度に配電用変圧器のエネルギー消費効率を2019年度に比べ11.4%向上する目標が掲げられるなど環境性能の改善が求められている。このため、2026年には2022年比で10%以上の市場拡大が予測されているという。
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