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NVIDIAは車載プラットフォームも「Blackwell」世代へ、MediaTekとの協業も進展車載電子部品

NVIDIAは「GTC 2024」の基調講演において、新世代の車載コンピューティングプラットフォーム「NVIDIA DRIVE Thor」を発表した。同社の新たなGPUアーキテクチャである「Blackwell」の採用によりAI処理性能は1000TFLOPSを達成している。

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 NVIDIAは2024年3月18日(現地時間)、米国サンノゼで開催中のユーザーイベント「GTC(GPU Technology Conference) 2024」(開催期間:同年3月17〜21日)の基調講演において、新世代の車載コンピューティングプラットフォーム「NVIDIA DRIVE Thor(以下、DRIVE Thor)」を発表した。同社の新たなGPUアーキテクチャである「Blackwell」の採用によりAI(人工知能)処理性能は1000TFLOPSを達成している。EV(電気自動車)大手のBYDなどが採用を表明しているDRIVE Thorは、早ければ2025年内にも量産車に搭載されるという。

「GTC 2024」の基調講演で発表された「DRIVE Thor」
「GTC 2024」の基調講演で発表された「DRIVE Thor」[クリックで拡大]
「DRIVE Thor」のSoC
「DRIVE Thor」のSoC[クリックで拡大] 出所:NVIDIA

 DRIVE Thorは、自動運転だけでなくAIアシスタントなどへの活用で自動車業界でも注目を集めている生成AI向けに設計された車載コンピューティングプラットフォームである。現行の「NVIDIA DRIVE Orin」の後継となり、トランスフォーマーモデルや生成AIの処理性能で1000TFLOPSを実現している。

 DRIVE Thorの名前が初めて出たのは2022年9月の「GTC September 2022」だった。このときはBlackwellの前世代のアーキテクチャである「Hopper」や、グラフィックスボード向けのアーキテクチャ「Ada Lovelace」、サーバ向けCPUである「Grace」などを組み合わせて2000TFLOPSのAI処理性能を実現するとしていた。今回の発表では、AI処理性能は1000TFLOPSに低下しているものの、Blackwellの消費電力当たりの処理性能がHopperの25倍になることも加味して考慮すると、車載コンピューティングプラットフォームとして求められる性能を確保しつつ消費電力を低減する形で仕様の最適化を行ったことが伺われる。

「GTC September 2022」で発表した当初の「DRIVE Thor」
「GTC September 2022」で発表した当初の「DRIVE Thor」[クリックで拡大] 出所:NVIDIA

 また、今回の発表では、EV世界最大手となったBYDの他、中国の有力EVメーカーとして知られるXPENGやHyperがDRIVE Thorを採用することを発表した。さらに、DRIVE Thorの最初の発表時点で2025年の量産を表明していたZEEKERや、やはり中国の有力EVメーカーであるLi Autoも採用の予定は変わっていない。加えて、長距離トラックや自動運転バス、ロボットタクシーなど向けに自動運転システムの開発を進めている企業からの採用も拡大している。Nuro、Plus、Waabi、WeRideなどで、このうちWeRideのティア1サプライヤーであるLenovo Vehicle Computerは、DRIVE Thorを搭載する自動運転ドメインコントローラーをGTC 2024の展示会場で披露していた。

「DRIVE Thor」を搭載する自動運転ドメインコントローラー
「GTC 2024」の展示会場で披露されたLenovo Vehicle Computerの「DRIVE Thor」を搭載する自動運転ドメインコントローラー[クリックで拡大]

MediaTekが「GTC 2024」に合わせて「Dimensity Auto Cockpit」を発表

 また、NVIDIAとMediaTekが2023年5月に発表した自動車コックピット向けSoCの開発でも進展があった。GTC 2024の基調講演と同日、MediaTekが同社の車載SoC「Dimensity Auto」に、NVIDIAのGPUを搭載する新ラインアップとなる「Dimensity Auto Cockpit」を追加したことを発表した。

MediaTekの自動車コックピット向けSoC「Dimensity Auto Cockpit」
MediaTekの自動車コックピット向けSoC「Dimensity Auto Cockpit」[クリックで拡大] 出所:MediaTek

 Dimensity Auto Cockpitは、CPUに「Arm v9-A」アーキテクチャを採用しつつ、NVIDIAの次世代GPUに基づくAI処理性能と「NVIDIA RTX」のグラフィックス処理性能を統合したとする。また、NVIDIAの自動運転システム向け参照ソフトウェア「NVIDIA DRIVE OS」にも対応している。これにより、車両内でLLM(大規模言語モデル)の高効率の処理が可能になり、AIアシスタント向けのチャットbotや、複数のディスプレイへのリッチコンテンツ配信、ドライバーの居眠り検知などの機能の実現を支援できるという。

 Dimensity Auto Cockpitは、フラグシップの「CX-1」、ハイエンドの「CY-1」、ミッドレンジの「CM-1」、エントリーの「CV-1」の4品種をラインアップしている。NVIDIAが提供するGPUで実現できる内容として、LLMなどの生成AIを高効率で処理でき、「DLSS3」ベースのレイトレーシングが可能とすることから、Ada LovelaceアーキテクチャをベースとするGPUを用いているとみられる。

(取材協力:NVIDIA)

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