MediaTekとNVIDIAが協業、2025年に自動車コックピット向けSoC:車載電子部品
MediaTekは自動車のスマートキャビン向けAIソリューションの提供でNVIDIAと提携する。
MediaTekは2023年5月29日、自動車のスマートキャビン向けAI(人工知能)ソリューションの提供でNVIDIAと提携したと発表した。この協業によってMediaTekは、NVIDIAのAIやグラフィックのIPを採用したGPUチップレットを搭載した車載用SoC(System on Chip)を開発する。エントリーセグメントの車両から高級車、完全自動運転車までカバーするスケーラビリティも持たせる。
MediaTekのスマートキャビン向けAIソリューションのSoCは、NVIDIA DRIVE OS、DRIVE IX、CUDA、TensorRTを採用し、最先端のグラフィックスや安全性、セキュリティを備えた機能をコックピットなどに提供する。MediaTekは、自社の車載向け製品にNVIDIAのGPUチップレットを統合することで、高速テレマティクスやWi-Fi、衛星通信などの通信を含む車載用プラットフォームのパフォーマンスを強化するとともに、先進的な車内体験を提供することを目指している。
NVIDIA 創業者兼CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏は「これまで、私たちは自動車が車輪の上のコンピュータになると信じてきた。ただ、技術的な貢献は簡単ではなく、SoC、通信、マルチメディア、AIなど全てが機能的に安全でなければならない。車載コンピュータがクラッシュすることはあってはならない。最高の技術と、安全性を考慮した設計を両立することが重要だ。それを実現する能力のある企業はなかったが、われわれが協力して技術を組み合わせることで、自動車産業のために車輪の上のコンピュータを実現できる」とコメントした。
MediaTekとNVIDIAは市場を限定せずグローバルにソリューションを展開する考えだ。また、2025年後半に製品を市場投入する。2020年代後半に量産車への搭載を目指す。ガートナーの調査によれば、インフォテインメントやメータークラスタ向けのSoCの市場規模は2023年に120億ドルに達する見通しだ。
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