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次世代コンタクトレンズの基盤技術に関する共同研究を開始研究開発の最前線

東北大学は、東京大学、メニコンと共同で、2024年4月より「次世代コンタクトレンズ及びコンタクトレンズの流通・製造に関する基盤技術構築」に向けた研究を開始する。

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 東北大学は2024年3月1日、東京大学、メニコンと共同で、同年4月より「次世代コンタクトレンズ及びコンタクトレンズの流通・製造に関する基盤技術構築」に向けた研究を開始すると発表した。今後、新しいコンタクトレンズ素材の設計と流通、製造に使うプラスチック資材のリサイクルに関する基盤技術の構築を進める。

左から、メニコン 伊藤恵利氏、東北大学 岡部朋永氏、東京大学 原田慈久氏
左から、メニコン 伊藤恵利氏、東北大学 岡部朋永氏、東京大学 原田慈久氏 出所:東北大学

 今回の共同研究では、3GeV(ギガエレクトロンボルト)のエネルギー加速が行える高輝度放射光施設「NanoTerasu」や同年4月1日に開設予定の「メニコン×東北大学 みる未来のための共創研究所(共創研究所)」をハブとして、基盤技術の構築を目指す。NanoTerasuは東北大学に整備中の放射光施設で、ポリマーなどのナノ構造の可視化が期待されている。

 メニコンでは、コンタクトレンズの素材を含むポリマー素材の計測に、従来施設に加えてNanoTerasuを利用する。NanoTerasuでは、特に輝度の高い(明るい)軟X線が活用できるため、コンタクトレンズで課題となっているレンズと水の関係、つまりレンズ装着時の快適性に関する研究などを行う。

 さらに、量子ビームの相補利用による精細な実態計測を、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した計算科学と組み合わせることで、計測と計算のデジタルツイン構築を目指す。これを両輪とし、緻密な素材設計を進める。

 ソフトコンタクトレンズの流通では、年間約4万トン(t)のプラスチック容器を使用すると試算されている。容器などコンタクトレンズ向けのプラスチック資材は、医療用途のため厳しい検査を受け、高純度の原料を使用する。同資材は、製造に伴う熱や光、圧力による品質劣化が小さいリサイクルプラスチックであり、CO2の削減効果の高い水平リサイクル資材として期待される。

 今後、環境省管轄のプログラム「BRIDGE」を通じたSIPサーキュラーエコノミー課題との連携により、コンタクトレンズの製造、流通で使うプラスチックの水平リサイクル技術を確立する。容器をはじめとするプラスチックの資源化については、共創研究所とNanoTerasuを活用して研究を推進するとしている。

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