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住民が運転するライドシェアが加賀市でスタート、温泉地の活性化へモビリティサービス

Uber Japanはライドシェアに関する包括連携協定を石川県加賀市と締結した。

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 Uber Japanは2024年3月12日、ライドシェアに関する包括連携協定を石川県加賀市と締結したと発表した。同日から、「加賀市版ライドシェア」の本格運行を開始する。北陸新幹線の延伸による観光需要の増加を見込み、バスやタクシーのドライバー不足をカバーしていく。


写真左からレディー加賀の甘池英子氏、Uber Japan代表の山中志郎氏、加賀市長の宮元陸氏、加賀市観光交流機構の東野哲郎氏、国土交通省 北陸信越運輸局次長の小椋康裕氏[クリックで拡大] 出所:Uber Japan

 加賀市にある北陸新幹線の加賀温泉駅が2024年3月16日に開業する。これにより大阪駅からは在来線の特急と北陸新幹線を組み合わせて2時間6分、東京駅は北陸新幹線のみで2時間43分でアクセスできるようになる。国内外からの観光客増加が期待されるが、地元のバス事業者やタクシー事業者でドライバーが不足しており、十分な移動サービスの提供が難しい状況だったという。

 そこで、Uber Japanと加賀市観光交流機構、加賀第一交通は、Uberアプリを使った加賀市版ライドシェアの提供を決めた。タクシーの運行を補完する位置付けで、午前7時〜午後7時までは加賀市内の主要観光地や住宅地で、午後7時〜午後11時は加賀市内全域で利用可能とする。午後11時から翌朝午前7時までは運行しない。今後は加賀市外で隣接する温泉地への移動も検討する。

 ユーザーはアプリで設定した場所で乗り降りできるが、加賀温泉駅にはライドシェア専用の乗り場も設置する。乗客とドライバーのマッチングや配車依頼、決済サービスはUberのアプリを通じて提供する。観光客だけでなく、地元の住民や能登半島地震で2次避難している人も利用できる。

ドライバーには面接や研修、講習も

 ドライバーを務めるのは加賀市民で、加賀市観光交流機構と加賀第一交通による選考と研修に加えて、国の指定講習を受ける必要がある。普通運転免許と自家用車を持っていることも条件となる。運賃は南加賀交通圏のタクシー乗車料金の8割、ドライバーへの報酬は売り上げの7割とした(残りは運行管理委託料やアプリの使用料に充てられる)。加賀第一交通がライドシェアのドライバーと車両の安全管理を行う。

 選考や研修を通過したドライバーが既に稼働している(2024年3月12日時点で14人)。自動車学校を運営する石川県自動車振興の指導員もドライバーとして参加する予定だ。ドライバーは、ライドシェアの実施主体であり事業に関わる管理監督を行う加賀市観光交流機構に登録し、委託契約を結ぶ。70人以上の応募があり、順次面接を行っている。メインの収入源としてではなく、本業の合間や休日にライドシェアのドライバーをやりたいという希望が多く、応募者の年齢層は50〜70代だという。今後、登録されたドライバーを50人に増やしていきたい考えだ。

 自治体によるライドシェアは、自治体やNPOが運行主体となって交通空白地で住民や観光客の移動手段を提供する制度。2023年12月の規制緩和で運行の対価がタクシー運賃の8割程度まで引き上げられた。大都市圏では、自治体によるライドシェアとは異なる制度として、2024年4月からタクシー事業者によるライドシェアの導入が予定されている(道路運送車両法第78条3号に基づく自家用車活用事業)。

ライドシェアへの期待

 加賀市長の宮元陸氏「国土交通省の認定を受けて有償での実証事業を積み重ね、ようやく本格運用が始まる。加賀温泉では二次交通が非常に不足している。タクシーを予約したくてもできず、夜にお酒を飲んだ後でタクシーを呼ぼうとしても1時間以上待たなければならないような状況が慢性的に続いており、コロナ禍で一層加速した。北陸新幹線の延伸は加賀温泉にとって大きなチャンスだ。能登半島地震の被害が大きい地域を応援する上でも、金沢から南の地域が元気を出して支えていくことが重要だ。そのときに二次交通が不便だというマイナスイメージがついてはいけない。旅館やホテル、医療福祉などでも送迎車両が動いていない時間がある。二次交通に活用できる車両がまだあるのではないか」と期待を寄せた。

 加賀市観光交流機構の東野哲郎氏は「交通システムの整備について以前から関係者で議論してきたが、いい方法が見いだせないまま北陸新幹線の延伸が近づいていた。そこにライドシェアの話をいただいた。“加賀市版”とついているように、加賀市ならではの地域の事情を踏まえたライドシェアを丁寧に作っていきたい」とコメントした。

 Uber Japan代表の山中志郎氏は「自治体やタクシー会社にUberの技術を使ってもらうことで、地域経済の活性化に貢献したい。多くの地域で課題となっている、移動手段の不足の解消につなげたい」と語った。

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