最大出力が1万Wの超音波金属接合装置、120mm2のEV用太径ハーネスに対応:材料技術
日本アビオニクスは「BATTERY JAPAN 二次電池展(第16回【国際】二次電池展)」に出展し、超音波金属接合装置「SE-10K」を披露した。
日本アビオニクスは「第23回 SMART ENERGY WEEK【春】」(東京ビッグサイト、2024年2月28日〜3月1日)内の「BATTERY JAPAN 二次電池展(第16回【国際】二次電池展)」に出展し、超音波金属接合装置「SE-10K」を披露した。
各種パラメーターや外部センサーの値を一元監視可能
SE-10Kは、2024年2月1日に発売された装置で断面積が120mm2までのEV用太径ハーネスや積層箔を超音波で接合できる。1万ワット(W)の高出力と独自開発のATHMOS(アトモス)制御方式により、高負荷になりがりな太径ハーネスや積層箔の接合時間を短縮している。搭載されたランチャート機能で各種パラメーターや外部センサーの値を一元監視できる。これにより、部品交換時期や故障の兆候を検出可能で、メンテナンス性を高められる。
さらに、金属接合で放射する超音波に関する100ショットの波形データや1000万ショットの履歴を残せ、データの外部出力に対応する。
日本アビオニクスの説明員は「EVでは搭載されたパーツに給電するために太径のハーネスが利用されている。各パーツと太径ハーネスを接合するのに使用されているのが超音波金属接合装置だ。この用途で使われている超音波金属接合装置の多くが最大出力が7000Wのタイプで、より太い径のハーネスに対応する高出力の超音波金属接合装置が求められている。そこで、当社は最大出力が1万WのSE-10Kを開発した。既に海外企業に導入実績がある」と語った。
同装置は超音波発振器「SW-D10KH-20」とプレス機「SH-H10K」で構成される。SW-D10KH-20の公称周波数は20kHzで、データは内部メモリへの保存やUSBメモリへの出力に対応している。外形寸法は496(幅)×558(奥行き)×229(高さ)mmで重さは32kg。
SH-H10Kは0.6Mpaの圧力をかけた時の最大加圧が1万ニュートン(N)で、加圧方式はエアシリンダ。ガイドユニットはハーネス複合専用機構で、電源/電圧は3相AC/200〜240V±10% 50/60Hzとなっている。所要空圧源はドライエア0.6MPaで、外径寸法は1200(幅)×1100(奥行き)×2100mm。日本アビオニクスの説明員は「SW-D10KH-20のみの販売にも対応しており、対象企業が自前のプレス機と組み合わせられるようにしている」と述べた。
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