「世界初」のカメラ脱着型サーモグラフィ、50万円以下の普及価格帯で発売へ:FAニュース(1/2 ページ)
日本アビオニクスは、普及価格帯のサーモグラフィカメラの新製品「Thermo FLEX F50」を発表した。スマートフォン型の本体コントローラーとカメラヘッドを脱着できる「世界初」(同社)の構造が最大の特徴で、価格(税別)は最も安価なベーシックモデルで45万円から。
日本アビオニクスは2017年8月23日、東京都内で会見を開き、普及価格帯のサーモグラフィカメラの新製品「Thermo FLEX(サーモフレックス) F50(以下、F50)」を発表した。スマートフォン型の本体コントローラーとカメラヘッドを脱着できる「世界初」(同社)の構造が最大の特徴となっている。価格(税別)は、最も安価なベーシックモデルが45万円、スタンダードモデルが55万円、PCへのリアルタイムデータ転送が可能なオンラインモデルが65万円。同年9月1日から販売代理店向けに出荷を始め、9月中旬から顧客向けに順次納入する予定だ。
同社は中級機(100万円前後)〜高級機(100万円以上)の国内サーモグラフィカメラ市場におけるシェアはトップだが、これまで50万円以下の普及価格帯の製品展開に注力していなかった。F50の投入により、約50億円の国内サーモグラフィカメラ市場における金額シェアを、現在の50%強から、数年後に60%まで高めたい考えだ。
日本アビオニクス 社長の秋津勝彦氏は「サーモグラフィカメラ市場でも、ハードウェアを売っていく箱売り中心から、顧客の価値を創造するソリューションビジネスへの転換が求められている。国内唯一のサーモグラフィカメラメーカーとして、顧客の求めるものを作り出すソリューションコンセプトで開発したのが今回のF50だ」と語る。
さまざまなシーンに対応可能な“フリースタイル”
F50は、スマートフォンのように画像表示や操作をタッチパネルで行える本体コントローラーと脱着可能なカメラヘッドから構成されるサーモグラフィカメラだ。本体コントローラー側面の上部と下部にあるジョイントを使ってカメラヘッドを装着して撮影する「ローテーションスタイル」、カメラヘッドを取り外して撮影する「セパレーションスタイル」、カメラヘッドを三脚や架台に設置して撮影する「リモートスタイル」など、さまざまなシーンに対応可能な“フリースタイル”を特徴としている。
F50と同じ普及価格帯のサーモグラフィカメラは、カメラヘッドと本体、持ち手などを一体化した片手持ちのグリップ型が多い。両手をふさがずに使えることや高い堅牢性などから広く採用されているものの、撮影アングルに制約があることが課題になっていた。
F50は、脱着可能なカメラヘッドを回転したり分離したりできるので、アングルフリーな撮影が可能である。また、グリップ型における撮影アングルの制約の一因になっていたフォーカス調整の問題についても、撮影者の手元(10cmもしくは30cm)から無限遠までフォーカスフリーとすることで解決した。カメラヘッドのレンズは、標準画角の35度の他に広角の70度を用意しており、広範囲の撮影にも対応した。
カメラヘッドは70℃の耐熱設計になっており、恒温層内に設置しての計測に耐え得る仕様になっている。恒温層内のカメラヘッドは、ケーブルで接続した本体コントローラーのタッチパネルで操作できる。
F50は、性能面でも普及価格帯のサーモグラフィカメラを上回るという。普及価格帯の画素数は160×120画素が一般的だが、F50は240×240画素と中級機に近い。温度分解能も、普及価格帯は0.1℃からが一般的だが、F50は0.05℃からとより高精細になっている。
普及価格帯の新製品ということで、初心者でもサーモグラフィカメラを使いやすくするための新機能を3つ搭載している。1つ目は「初心者が最も苦労する操作」(日本アビオニクス 赤外線サーモグラフィ事業部 マーケティンググループ リーダー 専任部長 木村彰一氏)という温度スケールを簡単に調整する機能「オートポイント」である。温度スケールの上限と下限をそれぞれタッチパネルで指定すれば、そこから自動で最適設定を導き出してくれる。2つ目は、屋外の撮影時に極端に低温になってしまう空や雲を無視して温度スケールを行う「スカイオフ」だ。3つ目は、PCを使わずに時系列での温度変化を記録する「トレンドグラフ作成機能」。作成したグラフはCSV方式で保存できるので、PCに転送して解析などに活用可能だ(オンラインモデルとスタンダードモデルのみ)。
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