2024年から始まる6Gの規格策定、無線ネットワーク設計への生成AI活用は未知数?:製造業IoT(2/2 ページ)
キーサイト・テクノロジーが、次世代移動体通信規格である「6G」の策定状況について解説。2024年内にITU-Rが6Gの要件出しを行った後、2025年に規格策定団体の3GPPが6Gのリリース時期について話し合う予定だ。
サブTHz帯の追加に向け、まずは7G〜24GHzの周波数を割り当て
6Gをけん引するのは、「新たな周波数技術」「AI(人工知能)とML(機械学習)の活用」「デジタルツイン」「新たなネットワークトポロジー」という4つの新たな要素だ。
「新たな周波数技術」では、100GHz以上となるサブTHz帯の追加が注目を集めているが、足元で課題になっているのは5Gと6Gの両方で利用を促進していくことになる7G〜24GHz帯である。
ITUは2023年11〜12月にかけて、4年に一度モバイル通信の周波数帯域について話し合う「WRC-23」を開催した。その報告書はさまざまな事項にわたって623ページにも及ぶが、モバイル通信の新たな周波数割り当てについても記載されている。そして、6G〜7GHz帯については、南北アメリカを除く世界全体で6.245G〜7.124GHzを用いる一方で、免許不要周波数帯と重なる南北アメリカでは10G〜10.5GHzを利用する方針が決まった。また、NTNとなる気球や航空機を用いた高高度/成層圏のモバイル通信では2.7GHz帯が割り当てられることになった。
「AIとMLの活用」では、無線ネットワークの設計において、レイテンシや容量、エネルギー消費といった目的、国レベル、街レベル、セル単位などさまざまなスケール、それぞれの条件に合わせて最適解を導くことが期待されている。その一方で、ChatGPTなどの生成AIが6GにおけるAIとMLの活用にどのように役立てられるかについても話題になっている。ニコラス氏は「現時点において、無線ネットワークの設計の問題解決に生成AIやLLM(大規模言語モデル)が最適とはいえない状況だ。米国、欧州、そして日本でも生成AI活用の規制やガイドラインを整備されることも考慮しながら、今後も研究開発を続けていく必要がある」と説明する。
「新たなネットワークトポロジー」で注目されるのは、既にSpaceXの衛星通信サービス「Starlink」などで実用化されているNTNだろう。Starlinkは低軌道を用いているが、6Gで言うところのNTNは静止軌道に加え、「新たな周波数技術」でも言及した成層圏や高高度、そしてドローン(UAV)までをカバーしている。通信衛星の打ち上げコスト低減によってクローズアップされており、WRC-23でも重要な議題として今後も話し合いを続けていくことが決まったという。
ニコラス氏は「6Gの開発において日本の果たす役割は大きい。海に囲まれた島国で山間部も多いという厳しい条件の中で、顧客のサービスやカバレッジに対する高い要求を満足させるために日本は最先端の技術を活用しており、これは6Gの開発にも生きるだろう」と強調する。キーサイト・テクノロジーとしても、6Gで導入が検討されているサブTHz帯の件研究開発活動を支援するために、電波法に対応した110G〜330GHzまでの確認試験サービスを提供することを会見と同日の2024年2月20日に発表した。業界初となるサービスにより、日本における6G開発を支えていく方針である。
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