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2024年から始まる6Gの規格策定、無線ネットワーク設計への生成AI活用は未知数?製造業IoT(1/2 ページ)

キーサイト・テクノロジーが、次世代移動体通信規格である「6G」の策定状況について解説。2024年内にITU-Rが6Gの要件出しを行った後、2025年に規格策定団体の3GPPが6Gのリリース時期について話し合う予定だ。

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キーサイト・テクノロジーのロジャー・ニコラス氏
キーサイト・テクノロジーのロジャー・ニコラス氏

 キーサイト・テクノロジーは2024年2月20日、東京都内で会見を開き、次世代移動体通信規格である「6G」の策定状況について解説した。2024年内にITU(国際電気通信連合)の無線通信部門であるITU-Rが6Gの要件出しを行った後、2025年に規格策定団体の3GPPが6Gのリリース時期について話し合う予定だ。現時点では、5Gの商用化から10年後となる2030年が6Gの商用化のタイミングになると見られている。

 会見に登壇したのは、約1年前の2023年1月にも来日して6Gの動向を解説した同社 6Gプログラムマネージャーのロジャー・ニコラス(Roger Nichols)氏である。ニコラス氏は「デジタル化の加速によってデータ量が急増し、それらのデータを用いたAI(人工知能)の導入が進み、カーボンニュートラルをはじめとする持続可能性にも対応しなければならない。これらの社会課題を解決するのに6Gは不可欠だ」と語る。

 ニコラス氏は6Gを必要とする要件を4つ挙げた。1つ目は携帯電話の契約者数の増加で、2028年時点で91億に達するなど既に世界人口を超える段階に入っている。2つ目はモバイル通信で扱いデータ容量が急増していることだ。2015年時点の6EB(エクサバイト、1EBは1×1018バイト)から2022年に95EB、2023年に150EBとなり、2029年には460EBに達するとみられている。3つ目は用途の広がりであり、電話とデータ通信に加えて映像をはじめとするエンターテインメントに広がっており、今後は農業、鉱業、製造業、金融などでの利用が見込まれている。そして4つ目となるのが、社会インフラの基盤としてのさらに重要性を増すことだ。教育、ヘルスケア、運輸、そして政府や官公庁の活動を支えていくことが期待されている。

6Gが必要とされる4つの要件
6Gが必要とされる4つの要件[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

3GPPとITU-Rの6Gに関連する活動

 3GPPにおける6Gについての活動は、これまで個別の調査や技術研究などにとどまっていたが、2023年12月に初となる正式な議論が行われた。この議論では、初めて6G策定に向けた公式のタイムラインが話し合われた。3GPPは、RAN(Radio Access Network)、SA(Service & System Aspect)、CT(Core Network & Terminals)という3つの主要グループがあるが、まずSAが2024年5月8〜10日に、オランダのロッテルダムでユースケースに関するワークショップを開催する。そして、2025年3月には3グループ合同で6Gのリリース時期について話し合うことが決まった。

3GPPにおける6G関連の活動概要
3GPPにおける6G関連の活動概要[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

 なお、2024年に実施される5Gを含めたさまざまな規格策定をまとめた「REL 19」では、6Gに関連する個別の技術に焦点を当てるとしている。RANでは、6G以降における7G〜24GHz帯のチャネルモデルや通信ネットワークをセンサーとして活用するISAC(Integrated Sensing and Communication)などが、SAではゼロトラストセキュリティやAI管理、NTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)などがテーマになるという。

3GPPとITU-Rにおける6G策定に向けたタイムライン
3GPPとITU-Rにおける6G策定に向けたタイムライン[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

 3GPPの活動と並行して、ITU-Rも6Gの策定に向けた活動を拡大させる方針。2024年は6Gの要件出しを行い、3GPPが正式に6Gの規格策定に入ってからは6Gの技術仕様の評価方法などを検討するとしている。現状では、3GPP、ITU-Rとも2030年が6Gの商用化タイミングになると想定している。

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