台湾のファウンドリ大手であるTSMCは2024年2月24日、熊本県菊陽町で建設していたJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の熊本第1工場の開所式を開催した。
JASMは2021年にTSMCが過半出資をし、ソニーグループの半導体子会社であるソニーセミコンダクターソリューションズ(SSS)、デンソーなどが出資をして設立された半導体製造会社で、2024年末までに稼働する計画とされている。2024年2月6日にはトヨタ自動車も新たに出資を行い、熊本第2工場を建設することが発表された。熊本第2工場は2027年の稼働が予定されている。
JASMの熊本工場は両工場が稼働すると、自動車、産業、民生などのアプリケーション向けに、40、22/28、12/16、6/7nm(ナノメートル)の各プロセスの合計で、月産10万枚を超える12インチウェーハを生産する計画だとしている。両工場に対する投資総額は200億米ドル(約3兆円)を超えるとされており、その半額近くを日本政府が支援する見込みだ。この2つの工場で3400人以上の技術者の雇用を行う計画だという。
新工場は、TSMCのグリーン製造コミットメントに従い、操業開始時に100%再生可能エネルギーを使用する計画だ。また、使用する地下水の100%以上を補充し地下水の枯渇などが起こらないようにする。さらに、現地でのサプライチェーン構築などを推進するとしている。
開所式には、TSMC 創業者のMorris Chang(モリス・チャン)氏、TSMC 会長のMark Liu(マーク・リュー)氏、TSMC 最高経営責任者(CEO)のC.C. Wei(C.C.ウェイ)氏が出席した他、来賓として、経済産業大臣の齋藤健氏、自由民主党 半導体戦略調査会長の甘利明氏、熊本県知事の蒲島郁夫氏、JASMの主要パートナーであるソニーグループ 代表執行役会長兼CEOの吉田憲一郎氏、デンソー 代表取締役社長兼COOの林新之助氏、トヨタ自動車 代表取締役会長の豊田章男氏、建設パートナーの鹿島建設 代表取締役社長の天野裕正氏などが出席した。
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