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加熱効率が高いマイクロ波で焼成する炭素繊維製造の実証設備が完成:工場ニュース
三井化学とマイクロ波化学は、マイクロ波で焼成する炭素繊維製造の実証設備を三井化学名古屋工場内に設置した。2024年1月から試運転を開始しており、両社は今後、量産化技術の確立に取り組む。
三井化学とマイクロ波化学は2024年2月8日、マイクロ波で焼成する炭素繊維(CF)製造の実証設備が2023年12月に完工したと発表した。愛知県名古屋市の三井化学名古屋工場内に設けた同設備は、2024年1月から試運転を開始している。
同設備には、マイクロ波化学が保有する技術「Carbon-MX」を導入した。Carbon-MXは、CF製造工程の耐炎化プロセスと炭化プロセスの両方にマイクロ波を使用する。マイクロ波は対象を内部から加熱するため、加熱効率が高く、ヒーターや熱風で加熱する従来法よりも処理時間を短縮でき、装置の省スペース化も図れる。また、装置自体が高温にならないため、安全性も向上する。
実証においては、Carbon-MXを用いた焼成ラインの機器一式をマイクロ波化学が供給し、三井化学が全体プロセスの構築を担った。
耐炎化プロセスは、CF製造工程中で最もエネルギー消費が大きいプロセスだ。両社は、耐炎化プロセスと炭化プロセスに同技術を導入することで、エネルギー消費量を約50%削減できると予測している。また、マイクロ波を発生させるための電源を再生可能エネルギーに切り替えることで、将来的にはCO2排出量を90%以上削減できる見込みだ。
両社は今後、CFサンプルの供給を2024年度内に開始することを目指し、量産化技術の確立に取り組む。
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