大興製紙が第2世代バイオエタノールの生産実証事業をスタート、SAFで活用:材料技術
大興製紙は、Biomaterial in Tokyoと提携し、持続可能な航空燃料(SAF)の原料となる第2世代バイオエタノールの生産実証事業を開始することを発表した。
レンゴーの連結子会社である大興製紙は2024年2月20日、Biomaterial in Tokyoと提携し、持続可能な航空燃料(SAF)の原料となる第2世代バイオエタノールの生産実証事業を開始することを発表した。
第2世代バイオエタノールは、木質バイオマスなど非可食資源を原料としたバイオエタノールを指す。CO2の削減効果があるSAFとして使用されるには、その原料や燃料転換プロセスなどで一定の要件を満たし、CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation)適格燃料として認証を取得する必要がある。
なお、今回の実証事業は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成および委託を受け実施する。
年間2万klの生産を目標に
2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、国際航空分野ではSAFの導入を各国において義務化する動きがある。そのため、世界的にSAFの需要が高まる中、日本でも国産原料を用いたSAFの安定調達に向けた技術開発の取り組みが急務となっている。
そこで、大興製紙では、建築廃材などの未利用バイオマス資源から生成するクラフトパルプを原料として、産業用微生物による自製酵素を用いたバイオエタノール生産技術の開発/実証を行い、2027年までに年間2万キロリットル(kl)のバイオエタノール生産を目指す。バイオエタノールは、販売先の燃料事業者でSAFに転換され、航空燃料として使用される予定だ。
また、同社は、実証事業開始と並行して、事業ポートフォリオの見直しを行う。実証事業用の設備を導入するとともに、5号抄紙機の設備更新を行い、老朽化した1号と2号の抄紙機を停機して5号と6号の抄紙機へ生産を集約することで、品質および生産性の向上とマテリアルバランスの最適化を図る。
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