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日本の固定資産への投資額はどう推移した? 国際比較で確かめるイチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(7)(4/4 ページ)

勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!

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不況下でも投資をし続けていた企業

部門別でも総固定資本形成の水準を比較してみましょう。


図8:部門別の1人当たり総固定資本形成(家計)
図8:部門別の1人当たり総固定資本形成(家計)[クリックして拡大] 出所:小川製作所
図9:部門別の1人当たり総固定資本形成(非金融法人企業)
図9:部門別の1人当たり総固定資本形成(非金融法人企業)[クリックして拡大] 出所:小川製作所
図10:部門別の1人当たり総固定資本形成(一般政府)
図10:部門別の1人当たり総固定資本形成(一般政府)[クリックして拡大] 出所:小川製作所

部門別に見るとずいぶん傾向が変わりますね! 日本の場合、家計と一般政府は1990年代をピークにして大きく減少していますが、企業は非常に高い水準を維持しています。


ええ。家計も政府も当時は極端に高い投資水準にあったわけですが、その後減少して、家計は主要国でも最下位、政府は中程度に落ち着いています。


一方で、企業は停滞こそすれど非常に高い水準が継続しています。最近になってやっと米国や韓国に追い付かれたくらいですね。


そうですね、不況で需要不足が続いているにもかかわらず、日本の企業は設備投資をし続けてきたことになります。


1990年代の盛り上がりは、バブルの影響も大きかったのでしょうか?


もちろん、1990年頃までは急激な円高と、それを受けてのバブルの影響は大きかったのでしょうね。それに加えて、半導体産業や自動車産業を中心として、国内での事業投資が活発だったのではないかと推測されます。


確かに、1980年代終盤には世界の半導体市場の半分を日本勢が占めていたといわれていますね。日本の半導体産業は、その後シェアは落としつつも1990年代にかけて大きく売上高を伸ばしていきましたね。


※経済産業省「第1回半導体・デジタル産業戦略検討会議」より

当時日本の産業は大きく伸びていて、作れば売れるという時代だったのかもしれません。バブルによる投機的なムーブメントも大きく後押ししていたのかもしれませんね。


なるほど、不動産バブルや株式バブルは1989〜1990年で崩壊したと言われますが、企業による事業投資はその後も高い水準が続いていたというのが興味深いですね。


そうですね、この辺りはストック面でも観測されると思いますので、その時に注目してみましょう。今回はここまでとして、次回は非金融資産と対となる金融資産や負債についてご紹介します。


金融勘定という部分ですね。楽しみです!


記事のご感想はこちらから!
⇒本連載の目次はこちら
⇒連載「『ファクト』から考える中小製造業の生きる道」はこちら
⇒連載「小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ」はこちら

筆者紹介

小川真由(おがわ まさよし)
株式会社小川製作所 取締役

慶應義塾大学 理工学部卒業(義塾賞受賞)、同大学院 理工学研究科 修士課程(専門はシステム工学、航空宇宙工学)修了後、富士重工業株式会社(現 株式会社SUBARU)航空宇宙カンパニーにて新規航空機の開発業務に従事。精密機械加工メーカーにて修業後、現職。

医療器具や食品加工機械分野での溶接・バフ研磨などの職人技術による部品製作、5軸加工などを駆使した航空機や半導体製造装置など先端分野の精密部品の供給、3D CADを活用した開発支援事業等を展開。日本の経済統計についてブログやTwitterでの情報発信も行っている。


監修者紹介

古川拓(ふるかわ たく)
TOKYO町工場HUB 代表

京都大学法学部卒。バンカーとして日米で通算15年間勤めたのち、2004年に独立。技術と創造力で社会課題の解決を促すソーシャルデザイン/プロデュースの道を進む。自ら起業家として活動しつつ、ベンチャーファンドの取締役、財団理事等を歴任し、国内外で活動してきた。

2017年よりスタートアップのエコシステム構築を目指すTOKYO町工場HUBの事業を開始。さらに2022年より和文化(工芸、芸能、食文化)を海外向けにプロデュースするTokyo Heritage Partnersを立ち上げ、現在に至る。

2009年〜2020年:東京大学大学院新領域創成学科の非常勤講師(持続可能な社会のためのビジネスとファイナス)を務めた。現在、東京都足立区の経済活性化会議他、東京観光財団エキスパート(ものづくり分野担当)、各種審議委員会の委員を務める。


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