新車生産がコロナ禍前を超える水準、6社が前年同期比2桁パーセント増:自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)
日系自動車メーカーの生産が力強い回復を見せている。乗用車メーカー8社の2023年11月の世界生産台数は、スズキとダイハツ工業を除く6社が前年実績を上回り、8社合計では10カ月連続で増加した。
マツダ
マツダの2023年11月のグローバル生産台数は、前年同月比10.1%増の11万3993台と、3カ月連続で増加した。主力の国内生産は同7.5%増の7万3560台と3カ月連続のプラス。半導体不足の解消が進んだことや新型車の純増などが要因で、車種別では主力の「CX-5」が同10.6%増、「CX-30」が同29.1%増とけん引した。輸出も同9.2%増と堅調で、新型車「CX-90」が純増となった北米が同41.7%増と大幅増を記録した。
国内以上に好調なのが海外生産で、前年同月比15.1%増の4万433台と5カ月連続で前年実績を上回った。中国は、2023年4月に一汽乗用車への生産委託を終了したものの、ゼロコロナ政策の反動に加えて、新型車「CX-50」の純増の他、CX-5や「マツダ3」が増加したことで同46.5%増と4カ月連続のプラスだった。北米も好調で、メキシコがCX-30の増加で同32.5%増。米国工場も2直化により同88.5%増と大幅に伸びたため、北米トータルでは同44.9%増と18カ月連続で増加した。
一方、タイは、2022年4月に日本市場向け「CX-3」の生産を開始した反動の他、マツダ2やCX-3の在庫調整などにより前年同月比49.0%減と半減。6カ月連続のマイナスと厳しい状況が続いている。
三菱自動車
三菱自の2023年11月のグローバル生産台数は、前年同月比18.0%増の9万7633台と2カ月連続で前年実績を上回った。8社の順位でもSUBARU(スバル)を上回り、定位置の7位に戻した。好調さをけん引したのが国内生産で、同57.3%増の5万3045台と2カ月連続のプラス。8社の国内生産で最も高い伸びを示した。販売好調な新型車「デリカミニ」が純増となり、国内生産全体を押し上げた他、「アウトランダー」も好調に推移している。
ただ、ボリュームが期待された日産向けOEMの軽自動車EV「サクラ」は、新型車効果の一巡により大きく台数を落としている。輸出も前年同月比6.6%減と2カ月ぶりに減少した。
国内が好調な一方で海外生産は低迷が続いており、前年同月比9.0%減の4万4588台と6カ月連続のマイナス。減少幅も8社で最大だった。主要地域の東南アジアは、最大拠点を構えるタイは同3.6%増とプラスを確保したものの、インドネシアは同7.7%減。2023年4月から生産を停止し、車両生産や販売から撤退すると発表した中国は0台。その結果、アジアトータルでは同8.5%減だった。
スバル
スバルの2023年11月のグローバル生産台数は、前年同月比12.2%増の9万1376台と10カ月連続で増加した。半導体の供給改善により唯一の海外拠点である米国生産が伸長し、同35.2%増の3万3047台と10カ月連続で増加した。8社の海外生産でも最も高い伸びとなった。主要拠点の国内生産も同2.4%増の5万8329台とプラスを確保し、2カ月ぶりに増加した。ただ、輸出は同1.8%減と10カ月ぶりにマイナスへ転じた。
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