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5カ月ぶりに2桁パーセント増、乗用車メーカーのグローバル生産自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

半導体の供給改善により日系メーカーの自動車生産は回復基調が続いている。日系乗用車メーカー8社の2023年10月の世界生産台数は、ダイハツ工業を除く7社が前年実績を上回り、8社合計では9カ月連続で増加した。

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 半導体の供給改善により日系メーカーの自動車生産は回復基調が続いている。日系乗用車メーカー8社の2023年10月の世界生産台数は、ダイハツ工業を除く7社が前年実績を上回り、8社合計では9カ月連続で増加した。需要が堅調な北米では半導体不足からの回復で好調を維持。一方、中国は、電気自動車(EV)対応での遅れに加えて、市場の競争激化で生産調整を余儀なくされている。また、アジアは主力市場のタイが低迷した半面、インドが好調など、国によってバラつきが目立つ結果となった。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 8社合計の世界生産は、前年同月比12.2%増の237万1355台と2桁パーセント増を記録した。世界生産は増加幅の縮小傾向が続いており、2桁パーセントの伸びは5カ月ぶりとなる。このうち国内生産は、同19.0%増の77万9814台と10カ月連続のプラス。ダイハツとSUBARU(スバル)を除く6社が増加した。半導体など部品の供給改善の効果が表れている。

 海外生産も好調で、前年同月比9.2%増の159万1541台と5カ月ぶりにプラスへ転じた。三菱自動車を除く7社が前年実績を上回った。国内生産と同様に半導体の供給改善で好調な北米がけん引しており、北米生産の5社合計は同34.5%増と10カ月連続で増加した。一方、競争が激しい中国は、5社合計が同13.4%減と6カ月連続のマイナス。減少幅は徐々に改善しているものの、普及が進むEVは現地メーカーによる猛烈な価格競争が勃発しており、日系メーカーを含む海外勢は太刀打ちできていないのが実情だ。

2023年10月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 282,695 617,590 200,469 155,288 900,285
39.2 8.7 22.5 ▲ 2.6 16.7
ホンダ 73,939 331,337 155,307 115,694 405,276
51.2 17.9 52.9 ▲ 12.3 22.8
日産 67,041 243,439 118,983 61,139 310,480
14.7 1.7 40.0 ▲ 35.6 4.3
スズキ 95,443 201,669 - - 297,112
14.6 9.6 - - 11.1
ダイハツ 80,298 77,620 - - 157,918
▲ 7.1 5.2 - - ▲ 1.5
マツダ 76,410 41,868 24,847 12,330 118,278
3.7 10.0 34.5 28.2 5.8
スバル 58,003 33,957 33,957 - 91,960
▲ 4.0 21.2 21.2 - 4.0
三菱自 45,985 44,061 - 0 90,046
11.9 ▲ 3.1 - - 4.1
合計 779,814 1,591,541 533,563 344,451 2,371,355
19.0 9.2 34.5 ▲ 13.4 12.2
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の10月のグローバル生産台数は、前年同月比16.7%増の90万285台と10カ月連続で前年実績を上回り、10月の世界生産として過去最高を更新した。

 このうち国内生産は、前年同月比39.2%増の28万2695台と10カ月連続のプラス。新型車を中心に国内市場で受注が好調な他、部品供給が回復していることが要因だ。10月16日には、系列サプライヤーでばね製品を生産する中央発條の藤岡工場で爆発事故が発生。トヨタの多くの国内生産車種に影響が及び、最大で10日間の稼働停止を実施したが大幅増を確保した。それでも、新型車や人気車種を中心に受注停止や納期の長期化は依然として続いており、国内市場におけるトヨタ車の人気の高さが伺える。また、輸出も好調で同47.5%増と6カ月連続のプラスだった。

 海外生産も好調だ。前年同月比8.7%増の61万7590台と3カ月ぶりに前年実績を上回った。全ての月を通じて過去最高の台数だった。地域別では、北米が同22.5%増と7カ月連続の増加。半導体の供給改善効果が表れた。欧州も需要が好調な他、トルコの稼働日が前年より多いこともあり、同35.7%増と伸長した。

 一方、中国は、EVシフトを含めた販売競争の激化により前年同月比2.6%減と6カ月連続の前年割れ。中国以外のアジアはまちまちで、フィリピンが同7.0%増、マレーシアは同10.8%増、台湾は同5.1%増、インドも同82.0%増と好調だったものの、主力のタイは経済の低迷により同17.7%減、ベトナムも同38.6%減と振るわない。その結果、アジアトータルは同1.2%減と5カ月連続のマイナスだった。

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