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新車生産がコロナ禍前を超える水準、6社が前年同期比2桁パーセント増自動車メーカー生産動向(2/3 ページ)

日系自動車メーカーの生産が力強い回復を見せている。乗用車メーカー8社の2023年11月の世界生産台数は、スズキとダイハツ工業を除く6社が前年実績を上回り、8社合計では10カ月連続で増加した。

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ホンダ

 ホンダの2023年11月のグローバル生産台数は、前年同月比27.1%増の41万4429台と3カ月連続のプラスだった。半導体の供給改善の効果が表れた。特に海外生産は、同33.2%増の33万8157台と大きく伸長し、3カ月連続で増加した。けん引したのが北米で、販売好調と半導体の供給改善が重なり同40.7%増と11カ月連続のプラス。加えて中国もゼロコロナ政策の反動増などにより同38.1%増と6カ月ぶりにプラスへ転じた。アジアトータルでも同28.6%増と2カ月ぶりに増加した。

 国内生産も堅調で、前年同月比5.7%増の7万6272台と4カ月連続で前年実績を上回った。このため輸出も同20.6%増と好調だ。国内販売では、2023年10月に新型を投入した量販車種の「N-BOX」が好調で、同年12月の国内車名別販売ランキングではトップを独走。また半導体の供給改善効果で「ヴェゼル」も同39.8%増と大幅に増加するなど、人気車種がけん引している。

 なお、納期も着実に短縮しており、受注停止の「シビックタイプR」を除くと、新型車の「WR-V」と、「ZR-V」「ステップワゴン」のガソリン車が半年と最も長く、長らく続いた長納期は解消に向かっている。

日産自動車

 8社の中で最も高い伸びを見せたのが日産自動車だ。2023年11月のグローバル生産は、前年同月比27.4%増の31万7233台と2カ月連続のプラス。ただ、前年が中国や北米で大きく落ち込んだことに対する反動が表れた結果で、2021年11月比では1.5%減、コロナ禍前の2019年11月との比較では25.9%減の実績にとどまっており、本格回復には程遠いのが実情だ。

 けん引役は海外生産で、前年同月比29.2%増の24万8550台と2カ月連続で前年実績を上回った。中でも中国は、前年のゼロコロナ政策の反動により同83.4%増と急増し、7カ月ぶりにプラスへ転じた。北米も好調で、米国は16.8%増で2カ月連続のプラス。メキシコに至っては同76.8%増と伸長し、12カ月連続で増加した。英国も同13.9%増と好調が続いている。

 国内生産は回復基調が続いており、前年同月比21.3%増の6万8683台と19カ月連続のプラス。「エクストレイル」や「セレナ」といった国内市場向け新型車が好調な他、輸出も同23.5%増とプラスを維持している。

スズキ

 8社の中で最も大きな落ち込みを見せたのがスズキで、2023年11月のグローバル生産は、前年同月比3.2%減の26万2799台と2カ月ぶりのマイナスだった。世界生産の半数以上を占めるインドが同3.2%減と2カ月ぶりに減少した。これは2023年11月に行われた祭事前の需要拡大により、同年10月に過去最高を記録した反動減が表れた形だ。パキスタンなどインド以外の海外生産も同21.1%減と9カ月連続で減少するなど低迷しており、海外生産合計は同6.2%減の17万1903台と2カ月ぶりのマイナスだった。

 一方、国内生産は回復基調が続いており、前年同月比2.9%増の9万896台と9カ月連続で増加した。国内最量販車種の「スペーシア」が2023年11月にフルモデルチェンジし、同じく新型に切り替わったN-BOXと合わせて注目を集めている。同年12月の新車販売台数でもスペーシアは同19.5%増と好調で、さらなる販売増が期待される。また、主力モデルの「スイフト」も同年12月に新型を投入し、同73.7%増と新型車効果を発揮している。輸出も欧州向けが増加し、同9.2%増と3カ月連続のプラスだった。

 加えて、ダイハツが認証試験不正で2023年12月後半から出荷を停止しており、長期化することも予測される中、結果としてスズキ車の需要が高まる可能性もある。

ダイハツ工業

 ダイハツの2023年11月のグローバル生産台数は、前年同月比1.2%減の15万9400台と3カ月連続のマイナスだった。このうち海外生産は、同1.8%減の7万5729台と2カ月ぶりのマイナス。マレーシアは増加したものの、インドネシアが好調だった前年の反動などにより同10.1%減と低迷した。国内生産も同0.7%減の8万3671台と2カ月連続のマイナス。登録車は同7.8%増だったが、前年にフルモデルチェンジした「ムーヴキャンバス」や大幅マイナーチェンジの「タント」などの反動減により軽自動車が同3.3%減と伸び悩んだ。

 夏以降の失速が目立つダイハツの生産だが、2023年12月以降は認証不正問題の影響が避けられない。同年12月26日から国内全ての工場で生産を停止。現在、国土交通省が全ての現行車種の基準適合性を確認しており、適合の確認が取れた車種から順次出荷を再開する予定だ。受託生産のトヨタ「プロボックス」など一部車種で出荷再開が認められたものの、生産再開は早くても2024年2月中旬以降と見込まれる。一方、海外ではインドネシア、マレーシアともに一時的に生産を停止したが2023年12月中には通常稼働に戻しており、認証不正に伴う大きな影響は出ないとみられる。

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