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23年度上期の新車生産は3年連続で前年超え、コロナ禍前からは8.5%減自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

長らく半導体不足などサプライチェーンの混乱で低迷していた自動車生産が着実に回復している。日系乗用車メーカー8社の2023年度上期の世界生産合計は、3年連続で前年実績を上回った。

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 長らく半導体不足などサプライチェーンの混乱で低迷していた自動車生産が着実に回復している。日系乗用車メーカー8社の2023年度上期(4〜9月)の世界生産合計は、3年連続で前年実績を上回った。半導体不足の緩和で、国内生産や北米生産の回復がけん引した。とはいえ、電気自動車(EV)の市場が拡大した中国は、商品投入で出遅れた日系メーカーは大きく台数を減らした他、取引先の工場のトラブルによる稼働停止など、さまざまなマイナス要因も見られた。

 部品の供給改善に加えて、メーカー各社が投入した新型車も好調なことから、全体的には生産回復の傾向は下期も続くことが予想される。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 2023年度上期の世界生産の8社合計は、前年同期比7.5%増の1263万9043台だった。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、SUBARU(スバル)の5社が前年実績を上回った。年を追うごとに回復しているものの、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度上期との比較では8.5%減という実績であり、中国事業の低迷もあるが、依然として半導体不足により制約を受けていることが伺える。実際に人気の新型車などは長納期で1年超えといった状況が発生している。

2023年4〜9月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 1,692,539 3,365,709 1,044,661 886,623 5,058,248
31.5 5.2 9.6 ▲ 7.3 12.8
ホンダ 318,525 1,658,046 780,279 585,378 1,976,571
11.4 5.5 33.0 ▲ 15.7 6.4
日産 354,428 1,308,510 612,007 341,723 1,662,938
38.7 ▲ 3.9 35.0 ▲ 33.9 2.8
スズキ 472,155 1,131,120 - - 1,603,275
4.8 ▲ 2.1 - - ▲ 0.1
ダイハツ 369,459 397,430 - - 766,889
▲ 4.7 0.2 - - ▲ 2.2
マツダ 399,057 193,834 121,788 40,163 592,891
18.6 16.4 41.9 ▲ 0.7 17.9
スバル 320,215 172,961 172,961 - 493,176
13.2 21.2 21.2 - 15.9
三菱 229,251 255,804 - 0 485,055
10.4 ▲ 8.5 - - ▲ 0.5
合計 4,155,629 8,483,414 2,731,696 1,853,887 12,639,043
18.9 2.6 23.2 ▲ 18.4 7.5
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は米国、カナダ、メキシコの合計

 このうち国内生産は、前年同期比18.9%増の415万5629台と大きく伸長し、3年連続で増加した。仕入れ先の工場の火災で稼働停止を余儀なくされたダイハツ工業を除く7社が前年実績を上回った。半導体の供給改善の他、北米向け輸出の好調、中国のロックダウンによりサプライチェーンに支障をきたしていた前年に対する反動などがプラスに働いた格好だ。ただ、コロナ禍前の2019年度上期との比較では9.4%減と、本格回復には至っていない。

 海外生産も、前年同期比2.6%増の848万3414台と3年連続のプラス。トヨタ、ホンダ、ダイハツ、マツダ、スバルの5社が前年実績を上回った。2019年度上期との比較では8.1%減にとどまった。北米は旺盛な需要に部品供給が改善したことで大きく回復し、同23.2%増の273万1696台と3年連続で増加した。一方、中国は前年のロックダウンの反動が期待されたものの、市場のEVシフトの中で、ハイブリッド車(HEV)を得意とする日系メーカーは苦戦。中国で生産する5社全てが前年割れとなり、5社合計は同18.4%減の185万3887台と2年ぶりのマイナスだった。

 深刻な販売低迷を受けて、マツダが現地企業への生産委託を4月で終了した他、3月から現地工場の稼働を停止していた三菱自動車は中国での車両生産および販売から撤退を決定するなど、生産体制を再編する動きが目立っている。

9月の状況は

 足元でも傾向は変わらない。9月単月の8社合計の世界生産は、前年同月比2.3%増の233万5451台と8カ月連続で増加した。トヨタ、ホンダ、マツダ、スバルの4社が前年実績を上回った。けん引したのが国内生産で、8社合計は同13.0%増の80万6639台と9カ月連続のプラス。三菱自を除く7社が増加した。

 一方、海外生産は、前年同月比2.6%減の152万8812台と4カ月連続のマイナス。ホンダ、マツダ、スバルを除く5社が前年実績を下回った。特に中国は、同14.9%減の35万9832台と5カ月連続のマイナスで、依然として厳しい状況が続いている。一方、北米は好調を維持しており、同12.4%増と9カ月連続のプラスで、北米で生産する5社全てが前年実績を上回った。

2023年9月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 310,920 589,999 182,766 164,977 900,919
12.8 ▲ 3.6 5.0 ▲ 6.7 1.5
ホンダ 61,515 312,188 133,510 119,305 373,703
24.2 6.5 13.2 ▲ 2.5 9.1
日産 66,446 236,711 104,039 65,712 303,157
21.2 ▲ 7.9 24.5 ▲ 36.2 ▲ 2.8
スズキ 95,008 199,324 - - 294,332
4.8 ▲ 3.2 - - ▲ 0.7
ダイハツ 85,527 71,568 - - 157,095
3.4 ▲ 11.6 - - ▲ 4.0
マツダ 80,074 39,101 23,681 9,838 119,175
19.4 13.5 23.9 49.2 17.4
スバル 62,358 30,357 30,357 - 92,715
36.2 10.8 10.8 - 26.7
三菱 44,791 49,564 - 0 94,355
▲ 5.6 ▲ 16.3 - - ▲ 11.5
合計 806,639 1,528,812 474,353 359,832 2,335,451
13.0 ▲ 2.6 12.4 ▲ 14.9 2.3
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は米国、カナダ、メキシコの合計

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