歩かない物流センターで60%の省人化、新開発の予知保全が自動倉庫の保守最適化:物流のスマート化(3/3 ページ)
エレコムが西日本の物流拠点として開設した“人が歩かない”兵庫物流センター。そこで導入したのが、イトーキのシャトル式立体自動倉庫システムだ。
AGVの動線を人と分けて“恐怖心”を排除
兵庫物流センターではホクショーのAGVを約20台導入した。アフターサービスやデータ漏えいなども考慮して国産にした。AGVは、床に貼られた2次元コードを読み取ることで走行する誘導方式となっており、パレットに載せられた荷物を次工程に搬送する。従来はフォークリフトで行っていた搬送作業をAGVが一部担うことで、フォークリフトの作業範囲を狭めることに成功した。
AGVやAMR(自律型搬送ロボット)は近年、国内外のメーカーが参入し、高機能化も進んでいる。ただ、兵庫物流センターではAGVと人の動線を分けて、機能もシンプルにした。
「われわれもさまざまな検証をしたが、インテリジェンスが複雑になればなるほど使いづらくなり、人と搬送ロボットが共存すると両方の生産性が落ちてしまう傾向があった。人は遠慮して止まってしまうし、ロボットも安全装置が働いて停止してしまう。ロボット側は当たりそうになったら単純に一定の距離で止まるだけだが、人の恐怖心というのは大きく“近くにいるかもしれない”“もうすぐ来るかもしれない”と感じるとロボットよりも手前で止まったり、スピードを落としたりする。それが顕著だった」(町氏)
その他、兵庫物流センターでは段ボール自動開梱機や自動梱包ラインなどを導入。これらの取り組みにより、約62%の省人化を達成した。さらに、日本ロジスティクスシステム協会主催の「2023年度ロジスティクス大賞」において「業務改革奨励賞」を受賞している。
今後は神奈川物流センターでも一層の省人化に取り組む。町氏は「今回は移転に伴い省人化に投資したが、次は動いている物流センターを止めずに、アドオンする形で大きな投資もせずにできないかと考えている。業界としては“省人化を進めたくても物流センターを止められないからできない”という声もある。業界全体を考えて“物流センターを止めなくてもこんな風にやればできる”というものにチャレンジしたい」と語る。
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