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歩かない物流センターで60%の省人化、新開発の予知保全が自動倉庫の保守最適化物流のスマート化(2/3 ページ)

エレコムが西日本の物流拠点として開設した“人が歩かない”兵庫物流センター。そこで導入したのが、イトーキのシャトル式立体自動倉庫システムだ。

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予兆保全システムで機械や設備の状態を可視化

 兵庫物流センターでは1日に平均14万ピースを出荷している。注文当日に出荷して翌日にはユーザーの手元に製品を届けるためには、注文から出荷までのスピードが絶対的に求められる。また万が一、自動倉庫が故障して出荷が止まれば、出荷そのものが停止しかねない。その点、イトーキは旧モデルのシステマストリーマー「SAS」を1985年に発売しており、数々の納入実績もあった。エレコムとしても既に神奈川物流センターでは仕分け作業に活用しており、信頼性を証明していた。

 人手不足や物流の2024年問題など、物流の効率化は避けて通れない課題となっている。自動倉庫システムの必要性も一段と高まり、海外メーカーも積極的に国内の展示会などで日本市場にアピールしている。

 その中で、イトーキが開発を進めているのがシステマストリーマーの予知保全システムだ。SAS-Rでは、例えばドーリーに不具合が起きるとそのドーリーを作業から切り離し、システム全体は稼働を続けられるような仕組みを既に構築している。そこからさらに、各機器の不具合の兆候を事前につかみ、故障を未然に防ぐのが予知保全システムとなる。


予知保全システムの概要[クリックで拡大]出所:イトーキ

 具体的には、ドーリーやリザーバー、LCU(Local Control Unit)から振動やエラー履歴などのデータを収集し、ビッグデータ化。そこから分析に必要なデータを抜き取り、扱いやすいように加工する。そして機械学習を活用してあらかじめ構築した予測モデルを基にデータを分析、診断する。機器の状態を見える化する他、異常発生時はメールで通知、また通電時間、稼働回数から適切な部品交換時期を知らせる。

 イトーキ 常務執行役員 本部長の澤田正氏は「倉庫レイアウトの特性などから、どうしても稼働している時間が長い機器とそうでない機器が出てくる。そうするとモーターの交換時期などが異なってくるため、予知保全で可視化することで適切な時期に交換できる。故障前に手を打つことができれば、保全計画もより計画的に立てられる」と話す。

 さらに異常を検知した際に、該当箇所への入庫を制限する機能も付加している。該当箇所の出庫が終わった段階でメンテナンスを行う。予兆保全システムは既にエレコムとは別のユーザーの現場でデータ収集、検証を行っているという。

 稼働状況を可視化できれば、将来的に物流センターのシェアリング促進にもつながる。町氏は「自前では大きな設備投資ができなかったり、人手が集まらなくて物流ができなかったりした時に、われわれのような物流センターが稼働していない時間帯に“使わせてください”ということが今後増えてくる可能性がある」と見る。

 澤田氏は「その時に稼働状況を見える化する仕組みが必要になってくる。それも見越してシステムを開発した。今後、自動倉庫だけではなく、コンベヤーなどの周辺機器も含めて一緒にシステムを構築できないかと考えている」と述べる。


左からイトーキの澤田正氏と、エレコムの町一浩氏[クリックで拡大]

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