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歩かない物流センターで60%の省人化、新開発の予知保全が自動倉庫の保守最適化物流のスマート化(1/3 ページ)

エレコムが西日本の物流拠点として開設した“人が歩かない”兵庫物流センター。そこで導入したのが、イトーキのシャトル式立体自動倉庫システムだ。

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 エレコムが西日本の物流拠点として2022年に開設した兵庫物流センター(兵庫県猪名川町)では、“人が歩かない”物流センターを構築し、大きな省人化を実現した。そこでは、イトーキのシャトル式立体自動倉庫システム「システマストリーマー SAS-R」も大きな役割を果たしている。いかにして歩かない物流センターを築いたのか、また、イトーキで新たに開発した予知保全システムについて話を聞いた。

物流ができなくなる時代に向けた省人化センター

兵庫物流センターの内部は物を運ぶ人の姿を見かけない
兵庫物流センターの内部は物を運ぶ人の姿を見かけない[クリックで拡大]

 幅広いPC、デジタル関連製品を扱うエレコムでは、日本の東西にそれぞれ物流拠点を置いている。東日本の物流拠点としては神奈川物流センター(相模原市中央区)があり、兵庫物流センター開設まで西日本の物流拠点は大阪に置いていた。移転した理由は大きく3点ある。

 1つ目はBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)対策だ。大阪の物流センターは海沿いにあった。2018年の台風21号は、記録的な高潮により関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突するなど大阪に大きな被害をもたらした。将来的に気候変動の進行で異常気象のリスクが高まる恐れがある他、南海トラフ地震発生の可能性もある。そのため、内陸部への移転を計画した。

 2つ目が省人化対策だ。現在、少子高齢化による人手不足は各地で問題となっている。従来の物流センターは人が歩いて棚にある製品をピッキングしに行く人海戦術で業務を行っていたため、人手不足の問題は常につきまとっていた。

 エレコム 取締役 執行役員の町一浩氏は「物流ができなくなる時代に入ってるとも言われており、物流現場は本当に人が集められず、人が集まらないから出荷できないという状況が起ころうとしている」と語る。そのため、これまでの労働集約型から装置産業型の物流に転換する必要があった。

 3つ目が、増加するEC向け小口出荷への対応だ。人手不足は深刻化し、物流の2024年問題も迫る一方で、ECの普及で荷物は小口化して配達件数は増えている。「地盤が強い内陸部に移転して先端設備で業務の機械化を進め、さらにEC出荷に対応する仕組みを作ろうとした」(町氏)。

 兵庫物流センターのコンセプトは「GTP(Goods To Person)」だ。従来のように人が歩いて製品を取りに行くのではなく、機械によって製品が人の元に運ばれてくる物流センターを目指した。

「物流現場を分析したら作業時間の20〜25%が歩行時間だった。従来は歩かないと製品を取りないため歩行は付帯作業的な扱いになっていたが、そこにメスを入れることにした。歩いているだけでは付加価値は生まれない。歩行時間を極力少なくするコンセプトで物流センターを作ることに行きついた」(町氏)

 そこで導入に至ったのがイトーキのシャトル式立体自動倉庫システム「システマストリーマー SAS-R」だ。オーダーを受けるとドーリーと呼ばれる水平走行台車が製品が保管されているラック間を行き交い、リザーバーと呼ばれる垂直昇降機を介して製品を搬送する。

 兵庫物流センターではこのシャトル式立体自動倉庫システムをピッキングに応用している。注文に応じて棚に取りに行くのではなく、ラックから製品が自動的に運ばれてくるため、作業者は立ったまま製品をピッキングしてベルトコンベヤーに流すだけとなっている。


作業者は奥の自動倉庫から流れてきた製品をピッキングする[クリックで拡大]

ピッキングした製品はベルトコンベヤーに流す

システムストリーマーは全部で11基導入された[クリックで拡大]
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