ENEOS HDの齊藤社長がセクハラで解任、2年連続で経営トップによる不適切行為:製造マネジメントニュース
ENEOSホールディングスは、2023年12月19日開催の取締役会で、同社 代表取締役社長 社長執行役員の齊藤猛氏を解任したと発表した。
ENEOSホールディングス(HD)は2023年12月19日、同日開催の取締役会で、同社 代表取締役社長 社長執行役員の齊藤猛氏を解任したと発表した。
併せて、同社 代表取締役 副社長執行役員 社長補佐 秘書部・監査部 管掌の谷田部靖氏の辞任勧告に基づく辞任と、常務執行役員 経営企画部・戦略投資部・カーボンニュートラル戦略部 管掌の須永耕太郎氏の月額報酬30%を3カ月間減額する処分を下したと公表している。須永氏は経営企画部・戦略投資部・カーボンニュートラル戦略部の管掌からも外された。
コンプライアンスホットライン窓口宛てに内部通報
解任および異動の理由としては、2023年11月末に、同社コンプライアンスホットライン窓口宛てに、齊藤氏や谷田部氏、須永氏の3人が参加した懇親の場で、齊藤氏が酔った状態で同席していた女性に抱きつくという不適切行為があったとの内部通報を受けたことを挙げている。
当該通報を受け、監査等委員会主導のもと、速やかに外部弁護士による調査を行った結果、通報内容が事実であると判断した。
同社は、2022年度に発生した当時の代表取締役会長の杉森務氏による不適切行為を踏まえ、2023年2月27日の取締役会で人権尊重/コンプライアンス徹底に関する取り組みのさらなる強化/再徹底を決議している。
その一環として、人材デューデリジェンスや役員向けハラスメント研修の実施、役員処分手続規則の制定などに取り組んできた。これらの取り組みの陣頭指揮を執るべき立場にある齊藤氏の上述の不適切行為は容認しがたく、同社 代表取締役社長 社長執行役員としてふさわしくないと判断したという。齊藤氏に対しては、2023年4月に導入したクローバック・マルス条項も適用し、月額報酬、賞与、株式報酬の一部返還/没収を実施した。
また、今回の件の対応に要した弁護士費用を含む一切の費用については、会社に生じた損害として別途求償する。
一方、須永氏も、当該女性に対し、性別役割分担意識が感じられるような不適切発言をしたことが認められた。同氏には、懇親の場の事務局責任者でありながら、齊藤氏による度を越した飲酒および不適切行為の結果責任もあると判断した。
谷田部氏については、代表権を持って齊藤氏とともに同社グループの経営に当たり、かつ、コンプライアンス部門のトップとして、前述の人権尊重/コンプライアンスの取り組みを推進すべき立場にあるにもかかわらず、同席した懇親の場で齊藤氏による不適切行為を起こさせたことに対する結果責任があると判断している。
今回の取締役会では、2年連続で経営トップによる不適切行為がなされたことを重く受け止め、役員処分手続規則に照らし、齊藤氏は代表取締役社長および社長執行役員の解任(取締役については辞任勧告)、谷田部氏は取締役の辞任勧告(代表取締役、副社長執行役員など、全ての現職の辞任勧告も含む)、須永氏は報酬減額が妥当であると判断し、2023年12月19日に、3氏の処分および異動を決議した。齊藤氏、谷田部氏は、辞任勧告を受け入れているという。
加えて、今回の不適切行為の発生を受け、杉森氏および齊藤氏とともに経営を率いてきた同社 取締役会長の大田勝幸氏は、月額報酬の30%を6 カ月間自主的に返上する。再発防止策を齊藤氏、谷田部氏とともに進めてきた代表取締役 副社長執行役員の宮田知秀氏、取締役 副社長執行役員の椎名秀樹氏、取締役 副社長執行役員の井上啓太郎氏も、月額報酬の30%を3カ月間自主的に返上する。
2024年4月以降の新体制決定に向けて
2024年4月以降の新体制決定までは、宮田氏が社長職の代行を務め、同氏とともに椎名氏、井上氏の3人が主導して業務執行を行う。新体制については、指名諮問委員会および取締役会で慎重に審議する。
再発防止策の取り組みについて
これまで、前述のような再発防止策を立案/実行してきたが、再度代表取締役による酒席での不適切行為が発生したことを踏まえ、あらゆる選択肢を視野に入れ、抜本的ガバナンス改革を検討していく。併せて、人権尊重/コンプライアンス徹底の強化を推進する立場の経営層にその意識が不足していたとの認識の下、より実効性のある再発防止策を検討していく考えだ。
なお、2023年12月19日付で、同社の子会社であるENEOSでも、齊藤氏は代表取締役社長 社長執行役員の解任、谷田部氏は現職の辞任勧告、須永氏は報酬減額および管掌の変更が妥当であると判断し、処分および異動を決議した。谷田部氏は辞任勧告を受け入れている。
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