シュナイダーが自社の組織とノウハウを活用したサービス拡充、OTセキュリティとDX:FAニュース
シュナイダーエレクトリックはOT環境のサイバーセキュリティの監視や対応を請け負うマネージドセキュリティサービスを2023年12月5日より始めた。また、サステナブルなスマート工場実現を支援するDXサービス事業を日本で2024年1月からスタートする。
シュナイダーエレクトリックは2023年12月5日、東京都内で記者会見を開き、日本で同日に開始したOT環境のサイバーセキュリティの監視や対応を請け負うマネージドセキュリティサービスと、日本で2024年1月から始めるサステナブルなスマート工場実現を支援するDX(デジタルトランスフォーメーション)サービス事業の概要について発表した。
ライトハウス含む多くの自社工場で蓄えたノウハウを提供
シュナイダーエレクトリックは現在、約29万点の製品を抱え、工場の数はグローバルで183カ所、物流センターは91カ所、サプライヤーは約1万4000社に上る。2017年からは、産業用ソフトウェアを手掛ける子会社のAVEVAとともに自社工場のスマートファクトリー化に着手しており、2021年にはスマート化した工場や物流センターの数は100を超えた。
その結果、エネルギー効率や生産性、信頼性などの向上につながっているだけでなく、世界経済フォーラムがスマート工場のモデルとして認定する「ライトハウス」にシュナイダーエレクトリックから7つの工場が選定されている。さらに現在、2つの工場の認定を目指しているという。
同社はスマート工場成功のカギを握る要素として、設備効率のためのデータ管理、運用効率と生産性の向上、エネルギー管理とサステナビリティ、インフラとサイバーセキュリティ、ガバナンスとチェンジマネジメントの5つを挙げる。
シュナイダーエレクトリック インダストリアルオートメーション事業部 バイスプレジデントの角田裕也氏は「われわれはスマートファクトリーの取り組みをボトムアップではなくトップダウンで行っている。目指すべき像を作り、それを実現するための組織体やエスカレーションの仕組みなど、ガバナンスとチェンジマネジメントまでスマートファクトリーの要素として含んでいる」と語る。
新たに始めるDXサービスでは、こうしたシュナイダーエレクトリックが実際の現場で蓄えたノウハウを、ユーザーの工場のデジタル化、スマート化、そしてエネルギー管理に提供する。戦略の策定から現地調査/診断、ソリューションやアーキテクチャの設計、実装、継続改善までDX推進のステップをトータルにサポートする。
既にグローバルでは2023年2月からサービスを開始しており、米国の総合飲料メーカー、ヘルスケアメーカーなどが利用しているという。当初は食品や薬品、化粧品など消費財メーカーを対象とし、2025年までに日本国内で30社へのサービス提供と、10件のGHGネットゼロ工場案件への支援実施を目指す。
自社のOT専門サイバーセキュリティ組織を活用
近年、生産設備もサイバー攻撃の対象となっており、セキュリティ対策が不可欠となっている。日本でも、サイバー攻撃の検知や分析を行い、対策を講じる専門組織であるSOC(セキュリティオペレーションセンター)を自社内に立ち上げたり、または外部企業に委託したりするケースが増えている。
しかし、OT側ではサイバーセキュリティに対する知見や経験が不足している他、予算も限られているケースが多い。さらに、同社 インダストリアルオートメーション事業部 ソリューションセールス サービス事業部 インダストリーサービス ダイレクターの森本直幸氏は「IT側と製造現場では普段使っている文脈や言葉には大きなギャップが存在する」と語る。
シュナイダーエレクトリックではサイバーセキュリティに関してITのSOCだけでなく、OT専門のSOCとしてCCSH(Cybersecurity Connected Service Hub)という組織を立ち上げ、フランスとインドの2拠点体制で24時間365日の脅威検知とサポートを行っている。
今回始めたマネージドセキュリティサービスはこのCCSHを活用して、ユーザーのOT環境におけるサイバー脅威を監視し、能動的に対応するサービスとなる。アセスメントから監視、対応まで一気通貫で提供する。ユーザーのIT部門との連携もサポートする。「われわれはITと製造現場の間に立って、ソリューションを提供していく」(森本氏)。2025年までに100拠点への導入を目指す。
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