本社地区に共創施設とカーボンニュートラル製品開発エリアを新たに設置:工場ニュース
日本ガイシは、名古屋市の本社地区に共創施設とカーボンニュートラル関連製品の開発エリアを新たに設置する。約150億円の設備投資により、研究開発機能が集約する本社地区を再編し、事業構造の転換を進める。
日本ガイシは2023年11月22日、名古屋市瑞穂区にある本社地区(熱田地区、瑞穂地区)に、共創施設とカーボンニュートラル関連製品の開発エリアを新たに設置すると発表した。約150億円を設備投資し、研究開発機能が集約する本社地区を再編して、事業構造の転換を進める。
熱田地区には、共創施設(仮称)を設置する。建築面積は約2200m2で、延床面積は約4350m2。完成は2025年5月を予定している。
共創施設は、同社の製品やコア技術を紹介するエリア、社外の人とアイデア出しをするエリア、社内外の交流を生み出すエリアなど、協働の促進に資する空間をつくる。屋内に同社が出資するエネコートテクノロジーズのペロブスカイト太陽電池を設置し、同電池の発電性能を検証する計画もある。
また、共創施設の隣には、デジタル関連製品を開発する新研究開発棟を建設している。開発棟の稼働開始は2025年6月の予定だ。共創施設から生まれたアイデアを開発棟で実証し、さらに共創施設で再検証するという流れが生む相乗効果を製品開発に生かす。
瑞穂地区には、カーボンニュートラル関連製品の開発、試作エリアを設置する。同地区には、自動車排ガス浄化用セラミック製品の製造、開発エリアがあり、その一部を再編して活用する。
同社は現在、大気中のCO2を直接回収できるダイレクトエアキャプチャー(DAC)用セラミック基材を開発している。DAC用基材の要求スペックは、自動車排ガス浄化用セラミックスと共通したものが多いため、同社のセラミック製ハニカム構造体の技術を活用し、CO2を効率良く吸脱着する基材の開発を進める。また、瑞穂地区では、CO2の吸着材をDAC用セラミック基材に塗布する技術の開発もスタートした。
既にDACエリアは、2023年11月より稼働しており、これから段階的に拡張して2025年に実証試験を実施し、2030年の量産体制構築を目指す。2025年6月には、CO2の回収や有効活用、貯蔵に使用されるサブナノセラミック膜の開発エリアを新たに設置する予定だ。
同社グループは、中長期ビジョンにおいて「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」を掲げている。同社は売上高の中で、カーボンニュートラルおよびデジタル分野が占める割合を、2030年に50%、2050年には80%に向上させるべく、事業構造の転換を進めている。
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