オフィスで紙循環サイクルを簡単構築、エプソンの水を使わない製紙機に新モデル登場:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
セイコーエプソンは、乾式オフィス製紙機「PaperLab」の新型機を開発し、環境総合展「エコプロ2023(SDGs Week EXPO 2023)」において、この新型機のプロトタイプの紹介と今後の戦略などを発表した。
小型化、低コスト化で利用環境拡大を目指す新型機
そして、新たなニーズに応えるために開発を進めているのが「新型PaperLab」だ。新型PaperLabは、「本体サイズを小型化」「専用シュレッダーの導入」「結合剤に天然由来材料を採用し、紙の繰り返し循環を可能」という3つの特徴を備えている。本体サイズの小型化により、設置場所の制約解消や導入コスト減により、一般的なオフィスでも導入しやすくした。また、古紙のシュレッダー機能と、再生機能を切り分け、PaperLab専用シュレッダーを分離することで、ビル内や企業間や地域内など複数拠点で使用済みの用紙を裁断して回収し、PaperLabでまとめて再生するような使い方が可能だ。
「従来機は、社内報など再生紙を特定用途で積極的に使っていく目的が明確な場合はよかったが、日常的に通常のオフィスで使うには大変な面もあった。新型PaperLabは小型、低コスト化で一般的なオフィスに設置しやすくした他、各フロアに専用シュレッダーを配置し、そこから定期的に回収して、1か所に設置されたPaperLabで再生するような一般業務に配慮した機能や性能となっている点が特徴だ」と山中氏は述べている。
新型PaperLabは技術的にはほぼ完成しており、2024年度春に実証実験を開始し2024年度秋に販売を開始する予定だ。「ビジネスモデルも工夫するつもりだ。機器の販売だけでなく、例えば、複数企業で専用シュレッダーで裁断した古紙を回収するネットワークを作りどこか1つの拠点にPaperLabを設置して再生するなど、新しいビジネスモデルを作りたい」と山中氏は語っている。
セイコーエプソンでは合わせて、従来機の「A-8000」を進化させた「A-8000リフレッシュモデル」も新たに2024年春に発売するとしている。A-8000リフレッシュモデルは、センサーにより最適な製紙条件を自動で設定できる機能を追加しているため、用紙ごとに製紙条件を個別に設定しなければならないという従来機の課題を解消している。担当者の負担を減らしより紙サイクルを構築しやすくするという。山中氏は「大量に再生を行うような場合はA-8000リフレッシュモデルの方が合致する。オフィスでの日常使いや、新たなビジネスモデル構築を行う場合は、新型PaperLabが適合する」と述べている。
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