世界の通信キャリアに接続する単一プラットフォーム、ソフトバンクが740億円出資:車載情報機器
ソフトバンクはIoTプラットフォームを手掛けるアイルランドのキュービックテレコムに4億7300万ユーロを出資する。
ソフトバンクは2023年12月5日、IoT(モノのインターネット)プラットフォームを手掛けるアイルランドのキュービックテレコム(Cubic Telecom)に4億7300万ユーロ(約747億円)を出資すると発表した。ソフトバンクによる海外企業への出資としては、過去最大規模となる。既存の株主からの取得や第三者割当増資によってキュービックテレコムの株式の51.0%を取得し、ソフトバンクの連結子会社とする。クロージングは2024年前半を予定している。
ソフトバンクはもともとキュービックテレコムと日本で取引があり、2020年ごろからパートナーシップの発展を議論する中で出資を含む提携を決定した。コネクテッドカーは2030年までに新車の95%まで普及し、エコシステム全体に2500億〜4000億ドル(37.5兆〜60兆円)の付加価値をもたらすと見込み、世界トップのシェア獲得を目指す。
キュービックテレコムの強み
キュービックテレコムは2009年に設立された企業だ。90社以上の移動体通信事業者との契約を通じて、190の国と地域で累計1700万台以上での採用実績があるとしている。フォルクスワーゲンとそのグループの各ブランドなど複数の欧州自動車メーカーを顧客に持つ。自動車だけでなく、農業機械や建設機械などにもIoTプラットフォームを提供している。
ソフトバンクが出資した後も、CEOのバリー・ネーピア(Barry Napier)氏は引き続き経営をけん引する。取締役には、現任で既存株主であるフォルクスワーゲングループのカリアド(CARID)やクアルコム(Qualcomm)からの3人に加えて、ソフトバンクからはら常務執行役員 法人事業統括 グローバル事業担当の野崎大地氏を含む3人が就任する。
自動車メーカーは世界中にコネクテッドカーを展開するに当たって、各国での規制対応、現地の通信キャリアとの契約や交渉、各国のキャリアに合わせた車載通信ユニットの設計/開発/管理など複雑な対応とそれに伴うコスト増加が課題となっているという。
キュービックテレコムのグローバルIoTプラットフォームは、190カ国のキャリアをカバーできる点が特徴だとしている。コネクテッドカーは、キュービックテレコムのグローバルIoTプラットフォームを通じて各国のキャリアに接続できるため、自動車メーカーから見ると単一接続となる。
これにより、自動車メーカーがモバイルネットワークを通じて車両や機器をグローバルでリアルタイムに監視/管理できる。関連する機能のアップデートにも対応する他、国や地域によって異なる規制などにも準拠する。これまではコネクテッドカーの通信料を自動車メーカーが負担することが主流だったが、キュービックテレコムのグローバルIoTプラットフォームを通じてそれぞれのユーザーに課金することも可能になるという。
ソフトバンクは、コネクテッドカー向けのIoTプラットフォームで実績のあるキュービックテレコムと戦略的パートナーシップを結ぶことで、今後急成長すると見込むコネクテッドカーやソフトウェアデファインドビークル(SDV)向けのグローバルIoT事業に本格的に参入する。キュービックテレコムは、ソフトバンクが持つアジア太平洋地域の幅広い顧客基盤を通じて新たな販売チャネルを開拓するという。
両社で協力して、衛星や成層圏での非地上系ネットワーク(NTN)ソリューションの活用にも取り組む。従来の地上ネットワークでは通信が届かない地域にあるモビリティにシームレスな通信サービスを提供することを目指す。
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