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吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できる?CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(19)(1/5 ページ)

“解析専任者に連絡する前に設計者がやるべきこと”を主眼に置き、CAEと計測技術を用いた振動・騒音対策の考え方やその手順を解説する連載。連載第19回では、吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できるのかを計算してみる。

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 吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できるのかを計算してみましょう。最初に、騒音のオーバーオール値の計算法を述べます。

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騒音のオクターブ分析

 前々回前回で、音の「吸音」と「遮音」について説明しましたが、それらは周波数によって異なる値を持ちます。例えば、板厚1[mm]の鋼板を遮音材として使った場合、300[Hz]の音に対しては17[dB]低減し、3000[Hz]の音に対しては35[dB]低減します。周波数によって騒音の低減量が異なるため、周波数ごとに低減量を計算する必要があります。

 騒音低減量の予測では、音圧を周波数分析し、周波数ごとに低減量を求め、低減後の音圧の総和を計算します。かつて周波数分析の方法を述べました。これを使ってもよいのですが、オクターブ分析機能付きの騒音計を使う方が手っ取り早いです。オクターブ分析機能付きの騒音計では、表1のような騒音レベルを測定できます。オクターブ分析には「1分の1オクターブ分析」と「3分の1オクターブ分析」がありますが、ここでは1分の1オクターブ分析について説明します。

オクターブ分析機能付き騒音計による騒音測定値
表1 オクターブ分析機能付き騒音計による騒音測定値[クリックで拡大]

 表1の各周波数の騒音レベルは、離散フーリエ変換によって得られたものではなく、音圧信号を1分の1オクターブバンドフィルターに通した後の音圧をデシベル表示したものです。ここで周波数は2倍ずつ増えていきます。オクターブバンドフィルターの周波数特性を図1に示します。

オクターブバンドフィルターの周波数特性(参考文献[1])
図1 オクターブバンドフィルターの周波数特性(参考文献[1])[クリックで拡大]

 昔のオクターブ分析機能付き騒音計では、例えば表1の測定をするために8個のアナログフィルターが必要となり、かなり高額な測定器でした。アナログフィルターで図1のような鋭角的な周波数特性を作るのは無理な相談で、図2の赤線のような周波数特性となります。JIS(参考文献[1])では「図2の青線と赤線の間に入ること」と規定されています。

実際のオクターブバンドフィルターの周波数特性
図2 実際のオクターブバンドフィルターの周波数特性[クリックで拡大]

 騒音計がデジタル器となった今日では、図2の青線の特性も可能となりました。離散フーリエ変換した場合は、図1のf1からf2までの振幅の総和をとればよいことになります。

参考文献:

  • [1]小橋豊|基礎物理学選書4 音と音波|裳華房(S62)

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