吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できる?:CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(19)(3/5 ページ)
“解析専任者に連絡する前に設計者がやるべきこと”を主眼に置き、CAEと計測技術を用いた振動・騒音対策の考え方やその手順を解説する連載。連載第19回では、吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できるのかを計算してみる。
遮音材と吸音材を組み合わせたときの音圧レベルの計算[屋内]
図5に示すように、遮音箱の中に出力W[W]の音源があるとします。音源からr[m]の位置にいる作業者が感じる音圧レベルを求めましょう。図5では部屋の吸音材の後ろに背後空気層がありますが、今回は“背後空気層がない”ものとして計算します。なお、背後空気層があると、薄い吸音材を用いても、背後空気層の厚さがプラスされるほどではありませんが、それに近い吸音率を得ることができます。
遮音箱の中の音圧レベルを求めます。やり方は2通りあります。1つ目は連載第17回の式25です。次式となります。
音源から距離が離れると箱の中は拡散音場となり、式1の第2項が支配的となるため、遮音箱内側の音圧レベルは式14となります。
平面音波ないしは球面音波の式を使います。図5において箱の内側の音が箱内面に当たるときの音のエネルギーは次式となります。
遮音箱の中の音圧レベルの求め方の2つ目を述べます。拡散音場があるとします。拡散音場の体積ΔVの微小な領域にはエネルギーがあるはずです。これを「音のエネルギー密度」といいます。拡散音場の単位体積当たりの音のエネルギーの時間平均をwavと表記します。wavの単位は[J/m3]です。拡散音場の中に箱があって、箱にあらゆる方向から入射する状態を図6左図に示します。単位時間、単位面積当たりの音のエネルギーは次式で表されます(参考文献[1])。
反対の発想で、箱の中が拡散音場で箱から外に出射するエネルギーも同じと考えることができます。図5において、箱の内側の音が箱内面に当たるときの音のエネルギーは次式となります。
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