吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できる?:CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(19)(2/5 ページ)
“解析専任者に連絡する前に設計者がやるべきこと”を主眼に置き、CAEと計測技術を用いた振動・騒音対策の考え方やその手順を解説する連載。連載第19回では、吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できるのかを計算してみる。
騒音のオーバーオール値
「結局、何デシベル下がるの?」という問いに対しては、騒音のオーバーオール値を答える必要があります。そのためには、全ての周波数の総和を計算する必要があります。この総和をオーバーオール値といいます。通常の騒音計が表示するのはオーバーオール値です。
表1の場合、63、125、250、500、1000、2000、4000、8000[Hz]の音圧の総和を求めることになります。では、周波数の異なる2つのsin波の和の実効値の二乗Pe2はどうなるか計算してみましょう。2つのsin波は次式とします。P1e、P2eは実効値です。
式2の第3項を考えましょう。次式となり、図3の積分となります。図3の下側のグラフに注目します。対称性がありますね。積分間隔Tをp1(t)の周期T1とp2(t)の周期T2の最小公倍数とすると、式2の第3項の積分はゼロになります。
よって、周波数の異なる2つのsin波の和の実効値の二乗は次式となり、それぞれのsin波の実効値の二乗の和となります。実効値の計算は連載第2回の式32を参照してください。
では、表1の測定値のオーバーオール値を計算しましょう。まず、デシベルの定義を式5、式6に示します。i=1が63[Hz]での値、i=2が125[Hz]での値とします。
遮音材による減衰後の音圧レベルは次式で求めます。
式6でそれぞれの周波数の音圧実効値(測定値)の二乗を求めます。式8でそれぞれの周波数の音圧実効値(遮音材による減衰後)の二乗を求めます。
次に式9、式10で実効値の二乗の和を求めます。
測定値と遮音材による遮音後の騒音レベルのオーバーオール値は次式となります。
これらの計算を行う「Excel」シートを図4に示します。これくらいであれば自分で作れるでしょう。
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