米ロックウェルが生成AIの活用を推進、生産工程の未来を創造:Automation Fair 2023
Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション)は、年次イベント「Automation Fair 2023」を開催。基調講演では同社 取締役会長 兼 CEOのBlake Moret氏とMicrosoft CCOのJudson Althoff氏が対談した。
Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション、以下ロックウェル)は、自社やパートナー企業の最新IT/OTソリューションなどを紹介する年次イベント「Automation Fair 2023」(2023年11月6〜9日、米国マサチューセッツ州ボストン)を開催。11月8日に行われた基調講演では同社 取締役会長 兼 CEOのBlake Moret(ブレイク・モレット)氏とMicrosoft(マイクロソフト) CCOのJudson Althoff(ジャドソン・アルソフ)氏が対談した。
ロックウェルは2016年にはリニア搬送装置を開発、製造する米国のMagneMotion、2021年にクラウド型MES(製造実行システム)を提供する米国のPlex Systems、2023年にはサイバーセキュリティのVerve Industrial Protectionを買収するなど近年も積極的なM&Aを展開している。
基調講演でモレット氏は、それらが半導体工場の生産性や、サプライチェーンの強靭性の向上に貢献している例などを挙げながら、「多くが10年前のわれわれのポートフォリオにはなかったものだが、それらを盤石な制御機器、エンドデバイス、オペレーターインタフェースなどの基盤の上に構築した。われわれは全く新しい場所におり、生産工程の未来を創造している」と述べた。
さらにモレット氏は「われわれの役割はユーザーが抱える複雑な課題を理解し、具体的に問題が何なのかをよりよく定義できるようユーザーをサポートし、自動化の業務をシンプルにすることだ。それが今後10年の勝者と敗者を分けるだろう」と語った。
また、モレット氏はステージに招いたアルソフ氏に産業用メタバースについて質問。アルソフ氏は「産業用メタバースはIoT(モノのインターネット)やクラウドのデータストア、AI(人工知能)、視覚化、複合現実、3次元のデジタルツインなどの集大成であり、製造環境や物流網、サプライチェーンを再現し、効果的にシミュレーションでき、人々がよりよい製品をより効率的に作ることができるようになるものだ。そのメリットはとても大きい。マイクロソフトとロックウェルは、製造業をはじめとする多くの産業でユーザーがそのメリットを得られるように緊密なパートナーシップで協力してきた」と話した。
マイクロソフトとロックウェルは提携しており、生成AIの活用も目指している。今回のAutomation Fair 2023でも、FAシステム設計用ソフトウェア「FactoryTalk Design Studio」に生成AIの機能を組み込んだ展示なども行われた。
アルソフ氏はマイクロソフトでもカスタマーサポートにAIなどを活用し、コスト削減と顧客満足度向上を実現した例なども挙げ、「生成AIはマイクロソフトで構築する全ての製品に活用しており、生成AI機能の構築に生成AIも活用している。これにより市場投入までの時間を短縮し、われわれのポートフォリオ全体に多くの機能を提供できるようになった。AIトランスフォーメーションは全ての人に対して行動を喚起するものだ。生成AIがどのように従業員体験や顧客とのかかわり方を変え、ビジネスプロセスを変革し、イノベーションを加速させるかを皆が考えるべきだ」と語った。
なお、Automation Fair 2023では製品展示に加えて、製品導入企業の見学ツアーや300以上のセミナーなどが行われ、期間中に約1万2000人が来場した。次回は2024年11月18〜21日に米国カルフォルニア州アナハイムで開催予定となっている。
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