マイクロソフトのAIは人作業の“副操縦士”に、世界に先立つ事例創出を目指す:製造ITニュース
日本マイクロソフトは、生成AIを含むAIに関する国内での展開について発表した。
日本マイクロソフトは2023年10月23日、生成AI(Generative AI)を含むAI(人工知能)に関する国内での展開について発表した。
生成AIを含め、AIへの期待が大きく盛り上がる中、Microsoftではクラウドコンピューティング環境をベースにAIの活用支援を推進している。インフラストラクチャやデータとAI活用、アプリケーション、セキュリティなど幅広い領域を支えている。これらの取り組みに加え、活用に向けた伴走支援などを充実。2023年10月11日には、新たにMicrosoftとして世界6拠点目のAI専門の共創施設「Microsoft AI Co-Innovation Lab」を神戸に開所している。
生成AIについても、いち早くChatGPTを展開するOpenAIとのパートナーシップを結んだ他、MetaとLlama 2についてのパートナーシップも締結。また、Hugging Faceについても利用可能としており、さまざま大規模言語モデルを選んで使える環境を作り出している。
これらの取り組みが評価を受け、Microsoftの生成AI関連のソリューションやサービスの活用は全世界で1万1000社以上に拡大している。国内でも既に560社以上が導入をしているという。
MicrosoftがAI導入に向けてポイントして重視している点の1つが「Copilotによる生産性の向上」である。AIを本当の意味で生かすためには業務に組み込み、改善につなげていく必要がある。そのためにはAIが常に業務を支え続けるような仕組みを作っていく必要がある。
日本マイクロソフト 執行役員 常務でクラウド & AI ソリューション事業本部長の岡嵜禎氏は「Copilotは副操縦士を意味しており、AIが操縦士である人を支えて一緒に業務を進めるということを示している。あくまでも人が主役でAIがサポートするという位置付けだ。ロゴマークも人とAIが共存共栄することを示している」と述べている。既にさまざまな業務に向けたCopilotサービスなどを用意しており、ソフトウェア開発において55%早いコーディングや、ワークフローを半分の時間で作成可能とするなど、目覚ましい成果を生み出しているという。
AI導入におけるもう1つのポイントが「AI基盤の構築」だ。AIをより広く深く活用するためには使用できるデータをより多い方がよいが、そのために共通のデータ基盤を構築することは難しい。そこで既存のデータ基盤そのものに手を加えることなく、間に「AIオーケストレーション」のような中間基盤を作り、そことそれぞれのデータ基盤で必要なデータをやりとりさせ、複数のデータ基盤情報を組み合わせることで、安全で効率的なAIモデル構築が行えるようになる。「顧客のニーズの9割〜9割5分はこのやり方で解決できる」(岡嵜氏)。
日本マイクロソフトでは、こうしたAI活用についての幅広いポートフォリオの強みを生かしつつAIの学習からシステム構築、成長までを伴走する支援プログラムを展開し、さまざまな業務におけるユースケースを世界的に発信する考えだ。「業務課題にして生成AIの事業アイデアをまとめ、AIに関してのリレーションや、構築支援から案件推進支援まで伴走する。他のITでは日本は遅れていると指摘されることもあるが、生成AIに関しては世界でも最先端となっている。Microsoftとして、グローバルからのベストプラクティスを提供することもできる一方で、逆に日本から世界に発信できる機会であり、その懸け橋になりたい」と日本マイクロソフト 業務執行役員 パートナー事業本部 副事業本部長でエンタープライズパートナー統括本部長の木村靖氏は述べている。
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