NECが国産生成AIを初めて一般公開、日本語LLMのデモンストレーションを実施:CEATEC 2023
NECは、「CEATEC 2023」において、独自の生成AIにおける日本語大規模言語モデルを出展しデモンストレーションなどを披露した。NECが独自の生成AIを一般向けに公開したのはCEATEC 2023が初だという。
NECは、「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日、幕張メッセ)において、独自のGenerative AI(生成AI)における日本語大規模言語モデル(Large Language Model、以下LLM)を出展しデモンストレーションなどを披露した。NECが独自の生成AIを一般向けに公開したのはCEATEC 2023が初だという。
NECでは2023年7月に独自の日本語LLMを開発し、生成AIをさまざまな業務プロセスに組み込むためのソリューションを展開する方針を示している。NECのLLMの特徴が、高い日本語能力だ。日本の企業において、LLMを実際の業務で利用するには、日本語に関する知識量や文書読解力が求められる。NECではもともと日本語ベースの自然言語認識の研究などを行っていたことから、特に日本語での質問応答性能や推論能力が高いとしている。
加えて、業務で活用するためにカスタマイズや他のシステムとの連携が必須となるが、そのためにはソフトウェアとしての軽さが求められる。NECのLLMは独自技術によりパラメーター数で130億とモデルサイズをコンパクトに抑え、GPUカード1枚搭載の標準的なサーバで動作が可能だ。これにより、LLMを組み込んだ業務アプリケーションがレスポンス良く動作し、業務運用時の電力消費やサーバコストを抑えられる。また、オンプレミス環境でも動作可能なため、秘匿性の高い業務でも使用可能だ。
既にNECの社内では、さまざまな形で生成AI活用が進んでおり、業務の効率改善を実現できているという。具体的には、NEC内での利用者数が約2万5000人、1日約1万回活用されている。そして、その成果として、資料作成時間が50%削減、議事録作成時間が平均で30分から約5分に短縮できたという。
CEATEC 2023の会場では、こうしたNEC独自の生成AIの特徴や成果を紹介するとともに、実際に受け答えをするデモを行った。例えば「AI事業の難しさをサッカーで例えて」のように抽象的な質問や、「以下の英語論文の貢献を日本語で教えて」など要約して答えを抽出するような質問なども、通信環境の影響で時間がかかることもあったが、すんなり回答していた。
NECで生成AI事業を推進するNEC Generative AI Hub エバンジェリストの石川和也氏は「NEC内の成果についても紹介しているが、多くの企業が日常的に行っている業務改善活動ではいくら頑張っても、50%などの効率化などということは生まれこない。1つ1つは小さいかもしれないが、こうした高い改善率の事例がいくつも社内で生まれてきている。これが積み重なって新たな土台となってくると、また違った業務の在り方へとつながってくる。生成AIは1つの革命だともいわれているが、それがこうした動きだと感じている」と述べている。
既に2023年10月13日には、神奈川県相模原市がNECと生成AI導入に向けた共同検証を進めていると発表しているが、独自LLMを発表後の手応えについて石川氏は「多くの企業から問い合わせを受けており、現在は10社と共同での実証を進めているところだ」と語っている。
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