スマートロック版Matterとなるか、CSAが「Aliro」を発表:組み込み開発ニュース
CSAは、スマートフォンやウェアラブル端末などのモバイル端末と連携して扉の施錠や開錠を可能にするスマートロックの標準規格「Aliro」を発表した。
CSA(Connectivity Standards Alliance)は2023年11月9日(現地時間)、スマートフォンやウェアラブル端末などのモバイル端末と連携して扉の施錠や開錠を可能にするスマートロックの標準規格「Aliro」を発表した。
Aliroは、モバイル端末とスマートロックのメーカーが重視する「簡易性(Simplicity)」「柔軟性(Flexibility)」「セキュリティ(Security)」「相互運用性(Interoperability)」という4つの原則に基づいたオープンな標準規格として策定されている。また、オフィスのシステム管理者や不動産業者、住宅管理業者、設備導入業者、オフィス/分譲住宅/賃貸住宅などの最終ユーザーを含めて、スマートロックに関わる全てのステークホルダーに恩恵をもたらすことも目的になっている。
「簡易性」では、システムインテグレーションの複雑さの軽減とトラブルシューティングを合理化によってスマートロックの導入障壁を低減する。「柔軟性」では、スマートロックによる入室の共通利用や個別制限を容易に実現できるように、さまざまな設置方法や建築様式のサポートを進める。「セキュリティ」では、オフィスや住宅の入退室という特に高い信頼性が求められるスマートロックに対応したモバイルアクセスソリューションの基盤を提供する。「相互運用性」では、標準化された通信プロトコルによってモバイル端末やスマートロックのメーカーに依存しない運用を可能にする。
これらの取り組みによってAliroは、スマートロックの研究開発コストの低減とシステム導入や統合の複雑さの簡略化を実現し、Aliroに準拠したモバイル端末とスマートロックであればどのような組み合わせであっても簡単に導入できるようになるという。スマートロックを含めた入退出管理システムの管理と保守、メンテナンスなどの負荷も低減できる。
なお、Aliroの通信プロトコルはNFC(近距離無線通信)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)といった無線通信規格に対応する。スマートロックのセキュリティを確保する上で重要な非対称暗号やクレデンシャル情報も取り扱えるようにする。
Aliroの規格策定は、スマートフォンのプラットフォーマーであるアップル(Apple)とグーグル(Google)の他、スマートフォン向けSoCを手掛けるクアルコム(Qualcomm)、スマートフォンの大手ベンダーであるサムスン電子(Samsung)、スマートロック向けのプロセッサ製品を展開するインフィニオン(Infineon)、NXP(NXP Semiconductors)、STマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)、スマートロックベンダーのAllegion、ASSA ABLOY、Kastle Systems、Last Lockなどがサポートしている。また、2022年から始まったAliroの活動には約200のCSAメンバーが参加しているという。
Zigbeeアライアンスを前身とするCSAは、スマートホーム機器の標準規格である「Matter」を策定している。MatterはCSAのプロモーター(幹事会社)であるアマゾン(Amazon.com)やアップル、グーグルなどが積極的に市場導入を推進しており、CSAはこのMatterの成果を基にスマートロック版MatterともいえるAliroの標準化も積極的に進めていく構えだ。
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