スマートホームの標準規格「Matter」が始動、デジサートのルート認証局を承認:IoTセキュリティ
デジサート・ジャパンは、スマートホーム機器のIoTセキュリティと認証の標準規格としてCSA(Connectivity Standards Alliance)が策定を進めているMatterについて、米国本社であるデジサート(DigiCert)のルート認証局がMatterデバイス認証局としてCSAに世界で初めて承認されたことを発表した。
デジサート・ジャパンは2022年10月12日、スマートホーム機器のIoT(モノのインターネット)セキュリティと認証の標準規格としてCSA(Connectivity Standards Alliance)が策定を進めているMatterについて、米国本社であるデジサート(DigiCert)のルート認証局がMatterデバイス認証局としてCSAに世界で初めて承認されたことを発表した。デジサートは既にMatter規格の製品認証局(Product Attestation Authority:PAA)としても承認されており、今後はスマートホーム機器メーカーによる迅速なMatter準拠製品の市場投入を支援していく方針である。
Matterは、スマートホーム機器の安全性と信頼性を担保するととともに、IoT機器としての利便性を阻害しないシームレスな利用を実現するためにCSAが策定を進めている標準規格である。Zigbeeアライアンスを前身とするCSAには、スマートスピーカーを展開するアマゾン(Amazon.com)やグーグル(Google)の他、アップル(Apple)やサムスン電子(Samsung)、ファーウェイ(Huawei)などがプロモーター(幹事会社)として参加しており、スマートホーム機器の標準規格の本命と目されている。2022年10月4日(現地時間)には、規格のバージョン1.0に当たる「Matter 1.0」をリリースしている。
デジサートもMatterの規格策定に数年前から参画しており、これまでに同社の製品認証局を用いたデバイス認証手順の評価などを支援してきた。今回同社がCSAから承認されたルート認証局は、Matterを本格運用するのに必要なスマートホーム機器の暗号化通信を担保するPKI(公開鍵基盤)の証明書発行や監査を行う役割を担う。
Matterに準拠したスマートホーム機器を開発する企業は、デジサートのソリューションを活用することで市場投入までの期間の短縮や、Matterへの準拠を継続するのにかかるコストの削減、オンプレミス環境でのMatterへの対応をはじめとする柔軟な実装が可能になるという。具体的には、デジサートが提供する「DigiCert IoT Device Manager」を用いることで証明書の管理などを容易に行えるようになり、デバイス認証証明書(DAC)や製品認証中間認証局(PAI)の管理を簡素化できるとしている。
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